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お役立ち情報

賃金・報酬

このお役立ち情報のポイント

  1. 各法令における「賃金」および「報酬」の定義に関して理解しましょう。
  2. 「賃金・報酬」に含まれるもの/含まれないものを理解しましょう。
  3. 用語の定義・違いをきちんと理解して、労務管理上など正しく使用しましょう。

賃金・報酬の定義

労働者が働いた対価として得られるお金、仕事に従事することによって得られるお金、それぞれのお金には給与や給料、賃金、報酬などいろいろな呼び方があります。このうち、働いて得られるお金を法令上の視点から、労働基準法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律では「賃金」とよび、健康保険や介護保険、厚生年金保険の社会保険の分野では「報酬」と呼ばれます。ここでは、それぞれの正しい定義を理解しましょう。

労働基準法における「賃金」

労働基準法では、下記のように「賃金」を定義しています。

賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。(労働基準法第11条引用)

※この法律で「使用者」とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいいます。(労働基準法第10条引用)

雇用保険法・労働保険の保険料の徴収等に関する法律における「賃金」

労働保険の保険料の徴収等に関する法律や雇用保険法では、下記のように「賃金」を定義しています。

この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであつて、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く。)をいう。(雇用保険法第4条4項労働保険の保険料の徴収等に関する法律第2条2項引用)

※この法律で「事業主」とは、、当該事業についての法律上の権利義務の主体となるものをいい、したがって、雇用関係については、雇用契約の一方の当事者となるものである。(厚生労働省HP雇用保険に関する業務取扱要領第1(2)より引用)

健康保険法・厚生年金保険法における「報酬」

健康保険法・厚生年金保険法における「報酬」とは、下記のように定義されています。

この法律において「報酬」とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのものをいう。ただし、臨時に受けるもの及び三月を超える期間ごとに受けるものは、この限りでない。(健康保険法第3条5項厚生年金保険法第3条3項引用)

※3か月を超える期間毎に受け取るものは「賞与」にあたります。

賃金・報酬に含まれるもの/含まれないもの

賃金・報酬に含まれるもの、含まれないものについて、それぞれ確認していきます。各種手当の名称に関わらず、手当の内容や性質など実情によって取り扱いましょう。

労働保険法での「賃金」の範囲

各法令による賃金の定義により、賃金とされるものは下記にあてはまるものであるとされます。

  1. 使用者もしくは事業主が労働者に支払うものであること
  2. 労働の対償として支払われるものであること

そのため、それに該当しないものは賃金ではないとされています。賃金とされないものには、

  1. 任意・恩恵的に支払われるもの
  2. 福利厚生として支払われるもの
  3. 実費弁償的なもの

があります。下記がその具体例となります。

                                                       
賃金とされるもの 賃金とされないもの
1.基本給(固定給)、深夜手当、時間外手当、休日手当、宿直・日直手当
2.扶養手当、家族手当、皆勤手当、技術手当、職階手当、能率給、能力給
3.遡って昇給した賃金
4.有給休暇日の給与
5.就業規則、労働契約等であらかじめ定めがあり、支給条件が明確なもの、事業主を経由したチップ、毎払い退職金(在職中に給与に上乗せ支給する退職金) 5.結婚祝い金、死亡弔慰金、災害・療養・出産見舞金、退職手当、チップ・祝祭日などに特別に支給される給与等(A)
6.一定額の均衡給与が支給されている場合の住宅手当相当額、物価手当、食事、被服、住居の利益 6.一定額の均衡給与が支給されていない場合の住宅の貸与(B)
7.労働者が負担すべき所得税、社会保険料を事業主が変わって負担する部分 7.生命保険料の補助金、財産形成貯蓄奨励金等(B)
8.通勤手当 8.出張費、業務遂行に必要な作業用品など (C)
9.労働基準法第26条に基づく休業手当 9.労働基準法第76条に基づく休業補償費、解雇予告手当(A)
10.年4回以上の賞与 10.3か月を超える期間ごとに受ける賞与・臨時に支払われる賞与(A)
11.海外手当、在外手当(A)
12.残業した際などにたまたま支給された夜食(A)
13.離職後に支払われた未払い賃金 13.離職後に決定された給与(昇給含み)及び賞与(A)
14.単身赴任手当、勤務地手当、転勤休暇手当、受験手当(実質弁償的でないもの) 14.赴任手当、移転料、寝具・工具手当、車の損料(C)

※横列の欄(同じ番号)は、例外や名称が似ているもの、落とし穴となるような部分の相互関係を表しています。また文章末尾のAもしくはB、Cは、それぞれ、上記で記載した賃金とされない3つの理由のどれに該当するかを表しています。

社会保険での「報酬」の範囲

標準報酬の算定基準となる「報酬月額」に含まれる報酬の範囲は、原則として、労働者が自己の労務の対償として受ける給料(基本給)や諸手当等のすべてとなります。

        
社会保険/報酬月額
含まれるもの 含まれないもの
通貨で支給されるもの 基本給・能率給・奨励給・役付手当・職階手当・特別勤務手当・勤務地手当・物価手当・日直手当・宿直手当・家族手当・扶養手当・休職手当・住居手当・通勤手当(一括支給も含む)・別居手当・早出残業手当・継続支給する見舞金・在職中に前払いで支給される退職手当・年4回以上支給される賞与等 大入袋・病気見舞い金・傷病手当金、解雇予告手当・結婚祝い金・退職手当(原則)・出張費・交際費・慶弔費・労災保険の休業補償給付・年3回以下で支給される賞与等
現物で支給されるもの 食事(食券を含む)・住宅(寮を含む)・被服(勤務服でないもの)・通勤手当に相当する定期券や回数券、乗車券・自社製品等 制服・作業服(業務に要するもの)・見舞い品・本人負担2/3以上の食事等

※上記は具体例の一部となります。

まとめ

各項目でご紹介した各法令における「賃金」や「報酬」の定義、そして「賃金」や「報酬」に含まれるもの・含まれないものの具体例を知っておくことは、会社の日々の労務管理において、各種保険料の計算や現在のコロナ禍における休業手当等の計算が必要となった際に、どの手当を賃金として計算をする必要があるのかをきちんと把握するために、とても大切なことです。

各項目の内容を参考にして頂き、日々の労務管理にお役立て下さい。もし、日々の労務管理に関して、お困りなことがありましたら、いつでもお気軽に、阪神労働保険事務センターへお問合せ下さい。


男性と女性のスタッフが笑顔で並んでいる
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