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お役立ち情報

出産育児一時金・出産手当金

このお役立ち情報のポイント

  1. 出産育児一時金・家族出産育児一時金について理解しましょう。
  2. 出産手当金について理解しましょう。
  3. 出産を控えた労働者が不安なく出産を迎えられるよう会社側で出来るサポートを行いましょう。

出産育児一時金・ 家族出産育児一時金とは

出産育児一時金・家族出産育児一時金とは、協会けんぽの被保険者及びその被扶養者が出産された時、出産時にかかった費用に対して経済的負担を軽減するために給付金が受けられる制度です。被保険者が出産をした場合は出産育児一時金を申請し、被扶養者が出産をした場合は家族出産育児一時金を申請します。

出産育児一時金・家族出産育児一時金の支給要件、支給額、支給方法等についてご紹介していきます。

支給要件

協会けんぽの被保険者及びその家族(被扶養者)が、妊娠期間85日(4か月)以降に出産もしくは早産、死産(流産)、人工妊娠中絶をした場合に支給対象となります。

支給額

子供1児につき42万円(※)が支給されます。多胎出産の場合には、胎児数分が支給されるので、例えば双子であった場合、42万円(※)×2児=84万円が支給されることになります。

※産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産の場合には40.8万円の支給額となります。制度の加入状況については医療機関等にお問い合わせください。

支給方法

出産育児一時金の支給方法には、直接支払制度、受取代理制度の2種類があります。

  • 直接支払制度
    出産の際に利用した医療機関が協会けんぽへ支給申請をし、医療機関が費用を受け取る方法。
  • 受取代理制度
    被保険者もしくは被扶養者が協会けんぽへ支給申請をする際に、出産の際に利用した医療機関を代理人として申請することにより医療機関が費用を受け取る方法。

多くの医療機関等では直接支払制度を利用することができます。受取代理制度を利用することができるのは、出産予定日まで2ヶ月以内の方に限られます。また受取代理制度を行っている医療機関等は、厚生労働省へ届出を行った一部の医療機関等に限られるため、直接支払制度を利用する場合が多くあります。どちらの制度も医療機関へまとめて支払う費用が少なくなるため、被保険者及び被扶養者の費用負担を軽減できます

出産育児一時金の範囲内で出産費用が支払えた場合、その差額は後で「出産育児一時金内払支払依頼書・差額申請書」を提出することによって協会けんぽへ請求することができます。また出産育児一時金を超えてしまった場合の費用については、その差額を医療機関等へ直接支払うことで清算します。

資格喪失後の出産育児一時金について

協会けんぽの被保険者が退職等によって資格を喪失した場合、以下の2つの要件に当てはまっていれば、出産育児一時金の支給対象となります。

  1. 退職日(資格喪失日の前日)までに被保険者期間が継続1年以上であること(任意継続被保険者期間は含まれない)
  2. 資格喪失日後6か月以内に出産したこと

被保険者が資格喪失後に被扶養者となる場合は、元被保険者として資格喪失後の出産育児一時金を受け取るか、もしくは配偶者(=被保険者)の被扶養者として家族出産育児一時金を受け取るかのどちらか一方を選択して請求します。

<具体例>
夫=被保険者A、妻=被保険者B、それぞれで会社勤めをしていてそれぞれの社会保険に継続1年以上加入しているとします。妻(被保険者B)が出産を機に妊娠6カ月目で会社を退職し、被保険者Bの資格を喪失したとします。すると、出産の頃には資格喪失後約4か月の頃となり、資格喪失後の出産育児一時金の資格要件を満たすことになります。そのため、 妻が被保険者Bだったことに対する資格喪失後の出産育児一時金として受給する権利があるといえます。(選択肢1)

違う見方として、妻(被保険者B)が退職後、夫(被保険者A)の被扶養者Aになった場合には、被保険者Aの扶養家族として家族出産育児一時金の支給も受けられる権利があるといえます。(選択肢2)

以上の結果として、こちらの夫婦には2つの受給方法の選択肢が出来てしまうため、重複受給しないように請求者(妻)がどちらか一方を選択する必要があるということになるのです。

<ここに注意!>
家族出産育児一時金は出産育児一時金とは異なり、被保険者が資格喪失後、被扶養者は支給対象とはなりません。

<具体例>
夫=被保険者、妻=被扶養者として、出産時に夫(被保険者)が会社を退職して資格喪失した場合、妻(被扶養者)の資格も同時に喪失されることになります。つまり、どちらも協会けんぽの保険下にはないことになるため、家族出産育児一時金は支給されないということになります。

出産育児一時金の申請書のイメージ

出産手当金とは

出産育児一時金や家族出産育児一時金のように、出産時によく耳にする給付金に「出産手当金」というものがあります。名称は似ていますが、要件や支給額、任意継続被保険者への支給の可否等、異なりますので、きちんと詳細を理解しましょう。

出産手当金とは、協会けんぽの被保険者が出産のために会社を休んだ場合、法定産休期間における所得喪失または減少を補填し、生活保障を行うために給付金が支給される制度です。

<ここに注意!>
退職後最大2年間、加入していた健康保険の被保険者であり続けることのできる制度「任意継続被保険者」の場合は、健康保険法第104条で定められた継続給付の要件を満たしている場合を除いて、出産手当金の支給対象にはなりません。任意継続は会社を退職した人に対する保険であり、かつ出産手当金は所得補償であることを考えると、そもそも就労していないという状況にあるため収入がないことが当然と考えると、その退職者への生活保障は不要と考えられるからです。

出産手当金の支給要件、支給額等についてご紹介していきます。

支給要件

以下を対象に支給されます。

  1. 出産日または出産予定日以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産日の翌日以降56日目までの期間
  2. 上記の期間内で労務に服さなかった期間

支給額

出産手当金の支給金額の算出方法は、

  • 支給開始日の時点で12カ月以上、社会保険に加入している場合
  • 支給開始日の時点で12カ月未満、社会保険に加入している場合

の2通りの算出方法があります。

支給開始日の時点で12カ月以上、社会保険に加入している場合

出産手当金の1日当たりの支給金額の計算方法

※1:支給開始日とは出産手当金が支給される一番最初の日をいいます。
※2:30日で除した際に出る小数点以下はこの時点で1の位を四捨五入します。
※3:※2で算出された金額に2/3をかけて算出された金額に小数点がある場合は小数点第1位を四捨五入します。

支給開始日の時点で12カ月未満 、社会保険に加入している場合

上記の計算式において「支給開始日以前の継続した12カ月の各月の標準月額を平均した額」の代わりに、以下の2つのうち金額の低いほうを使用します。

  • 支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均
  • 標準報酬月額の平均値
    • 30万円(※):支給開始日が平成31年4月1日以降の方 
      ※当該年度の前年度9月30日における全被保険者の同月の標準報酬月額を平均した額

支給申請書のダウンロード

出産手当金の申請書は、協会けんぽのホームページから各種ダウンロードできます。
以下のリンクをご活用下さい。

申請書のダウンロード

手書き用 ・手書き用記入例
入力用

※申請に関する注意や添付書類に関しても、協会けんぽのホームページをご確認下さい。

資格喪失後の出産手当金の継続給付

会社を退職して被保険者としての資格を喪失した後でも、以下の要件を満たしていれば出産手当金が継続給付できます。

  1. 退職日(資格喪失日の前日)に出産手当金の支給を受けている、又は受給可能な状態にある
    ※出産手当金受給可能な状態にある被保険者が一時的に支給停止されている場合も含みます。
  2. 退職日(資格喪失日の前日)までに被保険者期間が継続1年以上である

支給調整

出産手当金の支給対象期間に、会社から全部または一部報酬が出た場合は、原則出産手当金の支給はありません。報酬額が出産手当金の額よりも少ない時は、その差額を出産手当金として支給することができます。

また出産手当金と同様に、法で定められた事由によって会社を休業中に給付金が受けられる制度として「傷病手当金」があります。出産手当金と傷病手当金には支給調整という関係性があります。業務外の私傷病による労務不能期間中に出産手当金の支給が受けられる場合には、出産手当金が優先され、傷病手当金は支給されません。しかし傷病手当金の額が出産手当金の額よりも多い場合には、その差額が支給されます。
※傷病手当金に関する詳細は別記事「お役立ち情報:傷病手当金」をご参照ください。

最後に

初めての出産には不安がつきものですよね。出産自体もとても不安なのに、それにかかる費用という経済的負担の心配、そして出産に関わる手続きの心配など考え始めればきりがありません。そんな出産に関わる様々な心配を払拭できるように、事業主の皆様が出産を控えた従業者やその家族をサポートできる範囲で各種手続きのお手伝いをしましょう。

いずれもお金が絡んでくる問題なので、漏れや間違いがないように、しっかりとフォローしてあげる必要があります。弊社では出産前から育児休業終了までの保険関連のお手続きはもちろん、スケジュール管理も併せて行っております。お気軽にお問い合わせください。

出産後の母親が子供を抱いている様子
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