妊産婦等の就業制限
このお役立ち情報のポイント
- 出産前の女性・出産後1年未満の女性を「妊産婦」といい、就業制限が設けられています。
- 労働基準法における「産前・産後」の期間の定義を確認しましょう。
- 妊産婦および女性の就業制限に関して理解しましょう。
妊産婦
妊産婦とは
妊産婦(にんさんぷ)とは、妊娠が始まってから出産を経て、産後6~8週間の産褥期と呼ばれる期間が終わるまでの女性を指します。妊婦・産婦・産褥婦を総称して妊産婦といいます。
労働関連法令における妊産婦とは
労働基準法や母子健康法における「妊産婦」とは、妊娠が発覚してから出産を経て、その後1年未満の女子を指します。それぞれの労働関連法令では、女性の母性健康管理措置、母性保護を目的とした決まりが定められています。
労働基準法では、「妊産婦等」について第6章の2(第64条の2~第68条)で就業制限が設けられています。「妊産婦」の就業制限を適用する際に、「産前・産後」の期間の定義や当該人の申請の有無、対象となる業務内容などの決まりがあります。
妊娠、出産をしても医師の判断や自分の判断、家族との判断の中で可能な限り働くことを選ぶ女性が増えてきました。その中で、安心して働き続けることの出来る環境作りや体に過度な負担をかけないための就業制限は、妊産婦にとってとても大切です。そして国のひとつの課題でもある「少子化問題」に対しても、働く妊産婦をサポートすることはとても重要な対策です。妊娠・出産をした女性自身だけでなく、事業主様も、労働基準法の「妊産婦等」をしっかりと理解し、働きやすい環境を作っていくことが大切ですね。
労働基準法における産前・産後
産前・産後の定義
産前とは出産予定日もしくは出産日から起算してそれ以前の6週間(多胎妊娠の場合は14週間)を指します。産後とは出産日翌日から起算してそれ以降の8週間を指します。産前は女性が請求した場合のみ、産後は、6週間を経過するまでは請求の有無にかかわらず強制的に就業させることは出来ません。6週間を経過した後は、女性が請求し、かつ医師が支障がないと認めた業務には就業させることが出来ます。
産前休業
産前休業には、出産日も含まれます。
産後休業
産後休業の「出産」とは、妊娠4か月以上の分娩すべてが該当し、「生産」だけでなく「死産」や「流産」も含まれます。
妊産婦等の就業制限
労働基準法では、妊産婦および妊産婦以外の女性について、出産や育児、その他母体に影響を与える可能性のある業務に対して、就業制限が定められています。
妊婦 請求(+) |
産婦 (産後1年未満) |
一般女性 ※18歳以上 |
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請求あり | 請求なし | ||||
深夜業 | ✕ | ✕ | 〇 | 〇 | |
労働時間の制限 | 時間外 | ✕ | ✕ | 〇 | 〇 |
休日労働 | ✕ | ✕ | 〇 | 〇 | |
軽微な業務への転換 | 〇 | ✕ | ✕ | - | |
重量物 | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ | |
有害物 | ✕ | ✕ | ✕ | ✕ |
深夜業について
妊産婦が請求をおこなった場合には、深夜業をさせることは出来ません。(労働基準法第66条3項記載)
労働時間の制限について
妊産婦が請求を行った場合には、時間外労働をさせてはならず、又は休日に労働させてはいけません。(労働基準法第66条2項記載)
※管理監督者等(いわゆる労基法41条該当者)である女性については労働時間についての制限はありません。
軽微な業務への転換について
妊婦が請求を行った場合には、通常業務から他の軽微な業務に転換させなければなりません。(労働基準法第65条3項記載)
重量物・有害物を扱う業務について
重量物や有害物を取り扱う業務に関しては、すべての女性に対して就業させることが禁止されています。妊産婦だけではなく、女性の妊娠又は出産に係る機能に影響を及ぼす恐れがあるからです。
※重量物の詳細な規定およびその他の就業制限の詳細は、厚生労働省の公式ページの資料をご参照下さい。