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お役立ち情報

変形労働時間制の導入

このお役立ち情報のポイント

  1. 労働時間を年・月・週単位で調整!変形労働時間制に関して理解しましょう。
  2. 週単位、月単位、年単位、フレックスタイムでの変形労働時間制の導入方法。
  3. 無駄な残業代をカット!あなたの会社の実態にあわせた変形労働時間制を導入しましょう。

変形労働時間制とは

労働基準法では「1日8時間・週40時間」という労働時間の原則があり、これを超える時間については、時間外労働時間として扱われ、残業代の支払い義務が発生します。また労働基準法では残業時間の上限も決められており、特別な理由がない限りは月45時間・年間360時間を超えてはいけません。会社の業種によって、業務量が多い時期と少ない時期があり、一定の業務時間の設定では、日々の不要な残業による残業代の増加や残業時間の上限を超えてしまうような業務状況になりかねません。

これらを解決するための制度が「変形労働時間制」です。「変形労働時間制」は年単位・月単位・週単位などの一定期間内で、繁忙期や閑散期などの状況によって労働時間、労働日数を調整することにより、時間外労働として扱われる時間を減らし不要な残業代をカットすることが出来ます。例えば、月末だけ忙しくそれ以外の日は労働時間を減らしても問題ない場合、月単位で労働時間を調整します。1週目から3週目までは1日の労働時間を7時間にし、4週目の1日の労働時間を10時間にする、といったような方法です。

また、フレックスタイム制という1日の中での労働時間を調整する制度も変形労働時間制のひとつで、1日の中での労働時間にコアタイムを設け、労働者が自由に出社時間、退社時間を決めることで、時間外労働を減らすことのできる制度です。

変形労働時間制・フレックスタイム制を導入することにより、会社が得られるメリット、そしてデメリットをみていきましょう。

メリット

  • 業務量が多い時期、少ない時期の労働時間を調整することによって、通常であれば時間外労働として扱われる時間帯を通常の労働時間として扱うため、不要な残業代を減らすことが出来ます。
  • 会社の業種によって繁忙期や閑散期は様々です。変形労働時間制はその会社の状況に適した期間で業務時間を調整することが出来ます。事前に変形労働時間制を導入しておくことにより、従業員にとっての突然の残業を減らすことが出来ます。
  • 忙しくない時期は業務時間を減らし、空いた時間を家族の時間や趣味の時間もしくは長期休暇に充てるなど、プライベートと仕事の両立を上手に行い、従業員の仕事へのモチベーションを高めることが出来ます。

デメリット

  • ある一定の期間ごとに労働時間が異なるため、今までよりも残業時間の計算が複雑になったり、従業員一人ひとりの労働時間をきちんと管理する必要があるため、手間が増えます。
  • 残業代を生活費の糧としている従業員にとっては、残業代がカットされることによる収入減となります。

これらのメリット・デメリットをきちんと認識したうえで、どのように変形労働時間制を導入するべきなのかを検討する必要があります。また、変形労働時間制を導入する際、年単位・月単位・週単位の設定期間ごとに、導入方法や導入した際のさまざまなルールがあります。そのルールもきちんと理解して導入する必要があります。

時間管理を行うビジネスマンのイメージ

年単位の変形労働時間制

対象期間が1か月を超え1年以内の一定の期間を平均した1週間の労働時間を40時間以内に調整し、業務量によって1日の労働時間を変動させることができる制度です。

導入に必要な手続き

労使協定を締結し所轄の労働基準監督署長に届け出ることが必要です。

労使協定内で定める事項

労使協定内では以下の項目に関して定める必要があります。

  • 対象労働者
  • 対象期間(1か月を超える期間)および起算日
  • 対象期間内の特定期間(特に業務が繁忙な期間)
  • 対象期間中の労働日/労働時間
  • 労使協定の有効期間

週の平均労働時間・連続勤務日数

対象期間中の週の平均労働時間は40時間以内であることが必要です。1日の労働時間の上限は10時間、各週の労働時間の上限は52時間と決められています。また、対象期間内の通常の連続労働日数の上限は6日間となっていますが、特定期間については、この制限が緩和され最大連続労働日数は12日間となります。

対象期間が3か月を超える場合

1年単位の変形労働時間制の場合の各週の労働時間の上限は52時間と述べましたが、対象期間が3か月を超える場合には、下記の条件を満たす必要があります。

  • 週の労働時間が48時間を超える週は、連続で最大3週間までとなります。
  • 3か月ごとに期間を区切った場合、週の労働時間が48時間を超える週は、最大で3週分となります。
  • 1年間の労働日数の上限は280日となります。
  • 連続労働日数の上限は6日間となります。(特定期間については最大連続労働日数は12日間)

派遣労働者への制度の採用

変形労働時間制はどのような雇用形態の労働者でも適用することが可能ですが、派遣労働者の場合は現実的にしくなります。それは、派遣労働者は派遣元との間で締結された労働契約を基に、派遣先での指示を受けて業務にあたる雇用形態となるため、変形労働時間制も派遣元での協定が必要となります。派遣元で労使協定が締結されていれば、派遣先でも変形労働時間制で働くことが可能です。

月単位の変形労働時間制

1か月以内の一定の期間を平均した1週間の労働時間を40時間以内に調整し、業務量によって1日の労働時間を変動させることができる制度です。

導入に必要な手続き

労使協定を締結するかまたは就業規則に記載し、所轄の労働基準監督署長に届け出ることが必要です。
※就業規則は、各事業所ごとに、従業員数が10名以上の場合、必ず作成し、労働基準監督署への提出が義務付けられています。

労使協定または就業規則内で定める事項

  • 対象労働者
  • 変形期間(1か月を超える期間)および起算日
  • 1週間の法定労働時間を超えない定め
  • 対象期間中の労働日/労働時間
  • 労使協定の有効期間

週の平均労働時間

対象期間中の週の平均労働時間は40時間以内であることが必要です。特例措置対象事業場(従業員数が10名未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業)については44時間となります。

派遣労働者への制度の採用

変形労働時間制はどのような雇用形態の労働者でも適用することが可能ですが、派遣労働者の場合は現実的にしくなります。それは、派遣労働者は派遣元との間で締結された労働契約を基に、派遣先での指示を受けて業務にあたる雇用形態となるため、変形労働時間制も派遣元での協定が必要となります。派遣元で労使協定が締結されていれば、派遣先でも変形労働時間制で働くことが可能です。

また、就業規則内に記載する場合ですが、派遣先ごとに就業規則に記載しなければならず、派遣先が変更となった場合や追加となった場合、その都度就業規則を変更しなくてはならず、手間と労力がかかりますので、就業規則内での記載ではなく、労使協定の締結による変形労働時間制の適用をお勧めいたします。

週単位の変形労働時間制

常時労働者が30人未満の小売業、旅館、料理店、飲食店などの事業において、1週間の労働時間を40時間以内に収めることを条件に、日ごとの労働時間を仕事量によって調整することの出来る制度です。これらの事業は、日ごとの忙しさに大きな変動がある事業のため、1週間単位で採用することが出来ます。

導入に必要な手続き

労使協定を締結し所轄の労働基準監督署長に届け出ることが必要です。
また、該当の1週間の各日の労働時間は、その週の開始前までに、労働者へ通知する必要があります。

労使協定内で定める事項

  • 1週間の労働時間を40時間以内となるようにすること

派遣労働者への制度の採用

週単位の変形労働時間制については、派遣労働者への制度の採用はありません。

フレックスタイム制

働き方改革によりより効率的により生産性高く仕事が出来るよう作られた制度で、1日単位の労働時間に対して、必ず働かなくてはいけない時間帯(コアタイム)と出社時間・退社時間を自由に決めることの出来る時間帯(フレキシブルタイム)を設定し、労働者がその規定の中で働くことが出来る制度です。※必ずしもコアタイムを設定しなくてもよい。

導入に必要な手続き

労使協定の締結および就業規則に記載し、所轄の労働基準監督署長に届け出ることが必要です。
※就業規則は、各事業所ごとに、従業員数が10名以上の場合、必ず作成し、労働基準監督署への提出が義務付けられています。

労使協定内で定める事項

  • 対象労働者
  • 清算期間(3か月以内)および起算日※1か月単位のほかに、1週間単位等も可能です。
  • 清算期間における総労働時間 
  • 1日の労働時間
  • コアタイム、フレキシブルタイムの開始時間と終了時間(任意の記載)
  • 有効期間(1か月を超える場合のみ)

就業規則に定める事項

  • 始業、終業時刻の決定を労働者に委ねることを定める
  • 清算期間(3か月以内)および起算日※1か月単位のほかに、1週間単位等も可能です。 
  • 清算期間における総労働時間  

週の平均労働時間

週の平均労働時間が40時間もしくは特例措置対象事業場(従業員数が10名未満の商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業)については44時間となります。

派遣労働者への制度の採用

派遣労働者へのフレックスタイム制の採用は可能です。派遣元の就業規則への記載、協定の締結が必要となります。

あなたの会社の実態にあわせた変形労働時間制を導入しましょう。

労使協定の届出のイメージ
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