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お役立ち情報

高年齢者雇用状況等報告

このお役立ち情報のポイント

  1. 高年齢者雇用状況等報告について理解しましょう。
  2. 高齢者雇用安定法について重要な箇所を理解しましょう。
  3. 年齢や雇用の形態にとらわれず、労働者の就業能力(健康や労働意欲、生産性、業務能力など)に応じて適切な機会を提供するよう努めましょう

高年齢者雇用状況等報告書とは

制度の概要

高年齢者雇用状況等報告書とは、高齢者雇用安定法(正式名称:高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)第52条第1項の定めに従って、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況等を7月15日までに管轄のハローワーク(職業安定所)に報告するもので、ある一定数以上の常用労働者を雇用する企業に対して提出が義務付けられているものです。

高年齢者雇用安定法・該当箇所抜粋
第五十二条 事業主は、毎年一回、厚生労働省令で定めるところにより、定年、継続雇用制度、六十五歳以上継続雇用制度及び創業支援等措置の状況その他高年齢者の就業の機会の確保に関する状況を厚生労働大臣に報告しなければならない。

高年齢者雇用状況等の報告書は、各企業の高年齢者の雇用確保の措置及び就業確保措置の実施状況等を国が把握し、必要に応じて公共職業安定所等から各企業に対して助言や指導等を行うための基本情報や国としての方針・施策を決定するための情報として用いることを目的として行われています。

報告書の概要

ある一定数以上の常用労働者を雇用する企業に対して、毎年5~6月頃に「高年齢者雇用状況報告書」が郵送されてきます。東京労働局では、常用労働者数20人以上の規模の事業所に対して報告用紙を郵送することとしています。報告書の内容としては、以下の2点となります。

  1. 定年、継続雇用制度や雇用確保措置などの制度について
  2. 会社での高年齢者の雇用状況について

これらについて報告書の提出が必要となる企業は、事前に情報収集や整理等、準備をしておきましょう。

高年齢者雇用状況

高年齢者雇用安定法のポイント

高年齢者雇用状況等の報告書を作成していくにあたって、高齢者雇用安定法について理解し考慮する必要のあるポイントがいくつかあります。そのポイントに関してご紹介します。会社が法令をしっかり遵守しているかチェックしながら、報告書を作成しましょう。

60歳未満の定年禁止(義務)

高年齢者雇用安定法第8条で定められているところにより、定年の設定をする場合には60歳を下回ることが禁止されています。(高年齢者が従事することが困であると認められる業務として厚生労働省令で定める業務の場合を除く) 就業規則で定年を定めているはずなので、年齢を確認し60歳未満になっている場合には、早急に変更する必要があります。

65歳までの雇用確保(義務)

高年齢者雇用安定法第9条で定められているところにより、定年の定めをしている事業主は、雇用している高年齢者の従業員に対して65歳までの安定した雇用を確保するための措置を実施する必要があります。この措置に関して以下の対策のいずれかを行うことが定められています。

  1. 65歳までの定年引上げ
  2. 定年制の廃止
  3. 65歳までの継続雇用制度(再雇用や勤務延長制度など)の導入

3つ目の継続雇用制度の導入をしている場合には「希望者は全員対象とする」必要があります。

70歳までの就業機会の確保(努力義務)

高年齢者雇用安定法第10条の2で定められているところにより、65歳以上70歳未満の定年の定めをしている事業主もしくは継続雇用制度を導入している事業主は、雇用している高年齢者の従業員に対して65歳から70歳までの安定した雇用を確保するための措置を実施するよう努める必要があります。この措置とは、以下の対策のいずれかを行うことと定められています。

  1. 70歳までの定年引上げ
  2. 定年制の廃止
  3. 70歳までの継続雇用制度の導入
  4. 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度
  5. 70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度導入

4番目及び5番目については「雇用」という形態にとらわれず、対象となる高年齢者がなんらかのかたちで仕事に従事することが出来る機会を提供すること、そして、日本が少子高齢化社会であるという状況に対して新設された、希望する対象者には働くことが出来る環境を提供すること、この2点からスタートすることを提案したものとなります。これらは今までの措置とは特徴が異なることから、実施において課題が多く、現実にはなかなか踏み切りにくいものです。しかし、先にも述べましたが、日本は少子高齢化社会ですので、年齢にとらわれずに、労働者の就業能力(健康や労働意欲、生産性、業務能力など)に応じて適切な機会を提供するよう努めましょう。

高年齢者雇用推進者の選任(努力義務)

高年齢者雇用安定法第11条で定められているところにより、高年齢者の雇用促進するために、業務、環境や諸条件の働き方の整備を業務として担当する者を高年齢者雇用推進者として選任するよう努めなければなりません。

高齢のビジネスマン

高年齢者雇用状況等報告書の記載方法・注意点

高年齢者雇用状況等報告書の記入要領は、厚生労働省HPの該当ページにてご確認頂けます。ここでは、間違いやすい点についてご注意頂きたい箇所をご紹介します。高年齢者雇用状況等報告書様式と合わせてご確認下さい。

1.「創業支援等措置」について
「創業支援等措置」とは前項でご紹介した「70歳までの就業機会の確保(努力義務)」のうち、65歳以上70歳未満の高年齢者に対する、雇用によらない措置を指します。具体的には以下のような制度導入になります。
 
 1. 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度
 2. 70歳まで継続的に社会貢献事業に従事できる制度導入

2.「常時雇用する従業員」について
1年以上継続雇用されている、または1年以上の継続雇用の見込みがある、かつ週所定労働時間20時間以上の労働者を指します。(これは雇用保険被保険者の適用となる要件と同じです。)

3.以下1~2を用意してから記入していきましょう。
1. 就業規則:記載項目⑧~⑭に必要
2. 6月1日時点での年齢別労働者人数の集計:記載項目⑮~⑳に必要

その他、報告書作成の際に不明な点等があった場合は、事業所を管轄するハローワークへ問い合わせることができます。 

最後に

少子高齢化社会の中で、労働者不足という問題を抱えている企業が年々増えている近年こそ、高年齢者雇用について考えていく必要があります。65歳までの雇用確保義務や70歳までの就業機会の確保の努力義務といった高年齢者雇用安定法の法改正に伴い、定年などの年齢に縛られずに、就業能力(健康や労働意欲、生産性、業務能力など)に応じて、雇用を延長するための対策や措置を検討し、高年齢労働者の雇用維持について考える必要があります。

高年齢者雇用状況を把握し報告書を提出するための集計を取ったり、書類を作成したりすることは労務担当者としては面倒な業務のひとつとなってしまうかもしれません。しかし、今回ご紹介した高年齢者雇用状況等報告は、今後の労働者不足に対して各企業だけでなく国としての方針や施策を講じるための材料にもなりますので、「面倒」と思わずに、会社にとっての「チャンス」と捉えて、この報告書の作成を機に、高年齢者の雇用維持、拡大を会社として考えていきましょう。

高齢者労働者と共に働く

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