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お役立ち情報

平均賃金

このお役立ち情報のポイント

  1. 平均賃金とは?そしてどんな時に使うのかを理解しましょう。
  2. 平均賃金の計算方法・計算式・原則・最低保証額を確認しましょう。
  3. 平均賃金のルールをきちんと理解して、計算ミスからくる労使トラブルを防ぎましょう。

平均賃金とは

平均賃金とは、「誰かと比べて」とか「一般的にみて」というような他に比較対象を必要とする考え方ではなく、労働者が働くうえで起こりえる事象(休業手当の支払いや解雇予告手当など)を算出する上での基礎となる賃金のことをいいます。平均賃金については、労働基準法第12条で定められています。

労働基準法第12条 (原文該当箇所のみ)
この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。

労働者に対して支払われる手当など、労働者の生活を保障するための賃金となるため、上記の文章にあるように、労働者に対して実際に支払われた賃金から算出されるものとなります。

平均賃金が用いられる場面

1.解雇予告手当
使用者が労働者を解雇する場合、労働基準法第20条に基づき、少なくとも30日前には予告をしなくてはいけません。これに対して、30日分の平均賃金を支払った場合には30日前の予告でなくとも解雇することができます。また、平均賃金を支払った日数分の短縮もできます。これを「解雇予告手当」といい、平均賃金が支払額の基準となっています。

2.休業手当
労働基準法第26条で、使用者の事情により労働者が休業をしなくてはならなくなった場合、使用者は労働者にその期間中、平均賃金の6割以上の手当を支払う義務があります。これを「休業手当」といい、平均賃金が支払額の基準となっています。

3.年次有給休暇取得時の賃金
使用者は、雇い入れた日から起算して6カ月間連続勤務かつその期間の全労働日の8割以上出勤している労働者に対して年10日の年次有給休暇を、それ以降は労働基準法第39条に従って加算された適切な日数の年次有給休暇を付与する義務があります。平均賃金は、この年次有給休暇取得時の賃金を算出する際に使用される場合があります。

4.業務上の傷病・死亡の場合の災害補償
労働者が、業務を遂行したことが理由によるケガや病気、もしくは死亡した場合に支払われる災害補償は、それぞれ労働基準法第76条~82条の定めるところにより平均賃金を基準に算出されます。

5.減給の制裁
労働者に対して「減給の制裁」が行われる場合、労働基準法第91条に基づき、その1回の減給額が平均賃金の1日分の半額を超えるもの、また総額が1回の賃金支払いにおける総額の1割を超えてはならないとされてます。

賃金や手当によって生活の安定が保証されているイメージ

平均賃金の計算方法(原則)

平均賃金は、原則、下記の計算式によって算出されます。

計算式

3か月の賃金総額(分子)・総暦日数に含まれないもの(分母)

下記の期間およびその期間に該当する賃金は総暦日数および賃金総額には含まれません。

  • 業務上の休業日:業務上の傷病による療養のための休業
  • 産前産後休業:産前産後の女性が、労働基準法第65条に従って取得する休業
  • 使用者の責に帰すべき休業:事業主が労働者に対して、事業主の都合によって休業をさせる場合
  • 育児・介護休業:育児や家族の介護をするために取得する休業
  • 試用期間:試みの試用期間

3か月の賃金総額(分子)のみに含まれないもの

  • 臨時に支払われた賃金
  • 3か月超ごとに支払われた賃金
  • 通貨以外で支払われる賃金

※賃金に含まれないものの詳細につきましては、「お役立ち情報:賃金・報酬」をご参照下さい。

計算することをイメージさせる電卓の写真

平均賃金の最低保証額

平均賃金には最低保証額というものがあります。賃金の一部や全てが、出来高制や時給制、日給制の場合(=以下、変動給といいます)、どうしても働いた日数や時間によって、もらえる賃金にばらつきがあるため、平均賃金も低くなりがちです。そこで、最低保証額というものを設定し、ある期間の賃金総額をその期間の実働日数で割った額の6割が最低保証額となります。

最低保証額を利用する場合のパターンは下記の2つがあり、労働基準法では、下記のように定められています。

労働基準法第12条 (原文該当箇所のみ)
ただし、その金額は、次の各号の一によつて計算した金額を下つてはならない
 賃金が、労働した日若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制その他の請負制によつて定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十
 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によつて定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額

計算式

①賃金の全てが変動給となる場合(労働基準法第十二条一号)

②賃金の一部が変動給となる場合 (労働基準法第十二条二号)

平均賃金の採用のルール

平均賃金は、変動給(毎月の支払いで金額が異なる手当等)がある場合には、原則による計算方法によって算出された平均賃金と、最低保証額の両方を計算する必要があります。そして、算出された2つの金額のどちらか高いほうを採用します。

時間外手当(残業代)などの変動給が全くない場合には、原則=最低保証額となるため、必然的に原則によって算出された平均賃金を採用します。時間給の場合には、月単位でみると労働時間数が毎月異なる場合があるため変動給とみなされ、最低保証額を平均賃金として採用することになります。

最後に

平均賃金は、先にお話をしたように 「誰かと比べて」とか「一般的にみて」 といった相対的な概念ではなく、労働者の生活を保障するための手当等の額を算出するための基礎となる概念をいいます。そのため、毎月の給与計算と同じくらい重要です。平均賃金の計算は、頻繁に起こりえることではないからこそ、計算ミスなどがあった場合、労使トラブルにつながりかねません。細かいルールをしっかりと把握して正しく計算しましょう。不明点やご相談がございましたら、阪神労働保険事務センターまでお問い合わせください。

※記載内容はコンテンツ公開時点での情報に基づくものであり、法改正等により予告なく内容が変更となる場合があります。

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