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お役立ち情報

両立支援コーディネーター

このお役立ち情報のポイント

  1. 「治療」と「仕事」の両立を実現するために何をすればよいのか確認しましょう。
  2. 「治療」と「仕事」の両立を実現するために事業主の立場として何が出来るのかを確認しましょう。
  3. 貴重な労働人材の確保のためにも、事前に準備を進めることで働きやすい労働環境の整備や健康経営の考え方に基づいた経営を行っていきましょう。

治療と仕事の両立支援

年齢や生活習慣、環境などに関わらず誰でも病気にかかる可能性があります。それが働き盛りの若者であっても、家族を支える一家の大黒柱であっても誰にでも起こりえることなのです。病気にかかってしまったとき、自身の病気と向き合って、治療に専念しないといけないのか、もしくは治療をしながら仕事を続けることができるのか、いろいろと考えられるかと思います。そういった場合に、病気にかかったからといって「仕事」を諦めなければいけないとすぐに判断するのではなく、自身の症状によって、また医師の判断によって「治療」と「仕事」を両立させることができる場合もあります。

しかし、いざ「治療」と「仕事」を可能な限り両立させようと思ったところで、自身が働く会社や環境において、それが必ずしも可能であるとは限りません。そこで、「治療」と「仕事」の両立を希望する労働者とその事業主の双方が、それぞれにできることを考えていかなければいけません。

少子高齢化社会の中、労働者の高齢化もあり、「治療」と「仕事」の両立を実現するための制度を会社の中で検討し、制度づくりをしていくことはとても重要です。会社にとっては、人材不足が起こりえる今の世の中で、優秀で貴重な人材を失わずに済むという利点もあります。現在働いている労働者が安心して働ける職場づくりを行っていくために、「治療」と「仕事」の両立支援を考えていきましょう。

そのためにまずは何をしなければいけないのか、厚生労働省発行の「治療と仕事の両立支援ナビ ポータルサイト」では、下記のような「治療と仕事の両立支援の流れ」を紹介しています。労働者(患者)、企業・事業者、医師・医療機関の三者に対して①~⑧の順に対応をしていくことが推奨されます。

働く人(患者) 企業・事業者 医師・医療機関
①仕事に関する情報の提供
労働者(患者)は治療と仕事の両立支援が必要となった場合、まずは自らの仕事に関する情報について「勤務情報提供書」等を作成して主治医に提供します。
※①に対しては、産業保健スタッフや労務担当管理者も必要に応じて協力します ②主治医意見の提供
次に主治医から、「主治医意見書」等で支援に必要な、ア:症状、治療の状況、イ:退院後/通院治療中の就業継続の可否に関する意見、ウ:望ましい就業上の措置に関する意見、エ:その他配慮が必要な事項に関する意見、に関する情報の提供を受けます。
③主治医意見の提出
主治医から収集した「主治医意見書」等の情報を事業者に提出し、両立支援を申し出ます。
④産業医等の意見聴取
事業者は、産業医等から意見を徴収し、主治医の意見や労働者(患者)本人の要望を勘案し、具体的な支援に関して検討します。
入院等による休業を要さない場合の対応 入院等による休業を要する場合の対応
⑤「両立支援プラン」の策定
治療をしながら就業を継続するための「両立支援プラン」を策定します。
⑦休業開始前の対応
事業者は、休業に関する制度と休業可能期間、職場復帰の手順等について情報提供を行います。労働者(患者)は、休業申請書類を提出し、休業を開始します。
⑥「両立支援プラン」の実行
周囲の同僚や上司等に対して、必要な情報に限定した上で可能な限り開示し、理解を得ながら「両立支援プラン」を実行します。
⑧「職場復帰支援プラン」の策定
疾病が回復した際には、配置転換も含めた職場復帰の可否を判断し、労働者(患者)が職場復帰するまでの「職場復帰支援プラン」を策定します。
※治療の結果によっては、必要な措置や配慮の内容、時期・期間が変わることもあるので、
適時労働者に状況を確認し、必要に応じてプラン、就業上の措置及び治療に対する配慮をみなすことが必要です。

※厚生労働省 治療と仕事の両立支援ナビ ポータルサイトより抜粋

このように病気の治療を行う労働者(患者)と医療面から支える医師や医療機関、そして事業主や会社の労働環境などがそれぞれきちんと情報共有を行い、何が出来るのかを考え、双方が協力し合いながら「治療」と「仕事」の両立に向けて動いていくことが必要となります。労働者そして事業主、それぞれの視点から、ご自身の立場や状況に照らし合わせて、今何が出来るのか、何をする必要があるのかを考えてみて下さい。

仕事と治療の両立

両立支援コーディネーターとは

「治療」と「仕事」の両立支援を行うためには、労働者(患者)本人、会社、そして医師や医療機関の三者の連携が必要不可欠となります。この三者の関係を表した図が以下となります。

※厚生労働省 治療と仕事の両立支援ナビ ポータルサイトより抜粋

「治療」と「仕事」を両立できるように継続的な相談支援を行ったり、治療や仕事の状況に応じた支援情報の提供などを行ったりするなど、三者間(労働者本人、会社、医療機関)の連携をお手伝いするのが両立支援コーディネーターです。

長期的、反復継続的に治療が必要となる病気にかかった際には、両立支援コーディネーターの力を借りて、スムーズにまた具体的な計画として復職できるように支援を受けましょう。両立支援コーディネーターは、医療機関だけでなく会社内に在籍している場合もありますので、勤めている会社に確認をしてみましょう。

治療と仕事の両立に関する支援制度について

「治療」と「仕事」を両立していく中で、労働者(患者)自身が行動することによって受けられる支援制度にはどのようなものがあるのか、確認をしてみましょう。

医療費に関する支援制度

医療費に関する支援制度には以下のようなものがあります。

  • 高額療養費制度
  • 限度額適用認定証
  • 高額療養費貸付制度
  • 高額医療・高額介護合算療養費制度
  • 確定申告による医療費控除
  • 病(小児慢性特定疾病)の患者に対する医療費助成制度
  • 肝炎(B型・C型)に対する医療費の支援
  • 自立支援医療制度

生活に関する支援制度

生活を支援する制度には以下のようなものがあります。

  • 傷病手当金
  • 生活福祉資金貸付制度
  • 介護保険制度
  • 障害年金
  • 身体障害者手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 障害福祉サービス

これらの手続きの多くは個人で行うものが多いですが、会社や医療機関がサポートしてくれる手続きもあります。誰に何を相談したらいいのか、右も左もわからない状況かもしれませんが、まずは周りの医療スタッフや会社の担当者に相談し情報共有を行いましょう。各々の専門分野の方が、必ず助けてくれるはずです。

また、上記の制度の中で、社会保険労務士事務所として提出代行が行える業務は

  1. 高額療養費制度
  2. 限度額適用認定証
  3. 高額介護合算療養費
  4. 傷病手当金
  5. 障害年金

となります。社労士事務所による提出代行業務は企業様を対象に行う代行業務ではなく、個人を対象として行う代行業務となりますが、弊社でももちろんこれらの提出代行業務を行っております。弊社での対応のご希望がございましたら、まずは、企業様として顧問契約をさせていただいたうえでご相談をお受けするかたちとなりますので、こちらのページ下部の連絡先もしくはお問い合わせよりご連絡下さいませ。

事業主が出来る両立支援

実際に病気の治療と仕事の両立支援を必要とする労働者からの申出があってから、会社としての両立支援対策を考えるのでは準備不足といえます。まずは、事前に以下4点を準備していきましょう。
※厚生労働省 治療と仕事の両立支援ナビ ポータルサイトより抜粋

両立支援を行うための環境整備

  1. 事業者による基本方針等の表明と労働者への周知
  2. 研修等による両立支援に関する意識啓発
  3. 相談窓口等の明確化
  4. 両立支援に関する制度・体制等の整備
    1. 休暇制度・勤務制度の整備
    2. 労働者からの支援を求める申し出があった場合の対応手順、関係者の役割の整理
    3. 関係者間の円滑な情報共有のための仕組みづくり
    4. 両立支援に関する制度や体制の実効性の確保
    5. 労使等の協力

このように、あらかじめ想定できる範囲内で実際に労働者が病気になった際に、会社としてどのように取り組んでいけるのかを考えながら制度設計をしていくことが重要です。

まだまだ労使共に「治療」と「仕事」の両立支援の考え方は根付いていません。つまり「治療」しながら「仕事」を続けるという選択肢が世の中に浸透していないといえます。そのような風潮だからこそ、常に先を見据えて制度を整えることで、企業としてのアピールポイントも増すのではないでしょうか。すでに両立支援について考え始めた事業主様も、まだ何も考えていなかったという事業主様も、この機会に、両立支援についてじっくりと考えてみませんか。

助成金

「治療」と「仕事」の両立支援に関する取組を進めていこうと考えている企業には、助成金の申請が出来る可能性があります。どういった助成金が活用できるのかみていきましょう。
※厚生労働省 治療と仕事の両立支援ナビ ポータルサイトより抜粋

治療と仕事の両立支援助成金

小規模事業場等の産業保健活動を支援するために、医師や保健師等と契約し産業保健サービスを提供する活動を行う事業場に対して活動費用を助成する制度です。申請窓口は、独立行政法人 労働者健康安全機構となります。2022年12月現在、今年度まで受付を行っていた「産業保健関係助成金」は、今後は廃止となりました。2022年度実施については仕組みを見直した上で「団体経由産業保健活動推進助成金」として申請可能となります。公表され次第、弊社でも情報公開をしていく予定です。

障害者介助等助成金

事故や病の発症等により障害者となった者等の職場定着を図るために職場介助者を配置・委嘱した事業主や職場復帰へ向けて支援計画を行ったり職場支援員の配置を行った事業主に対して助成を行う制度です。申請窓口は独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構となります。

最後に

どこの会社でも、人手不足や労働力の高齢化が進むことが見込まれている昨今において、貴重な労働人材を確保しておくためには、こういった「治療」と「仕事」の両立支援についても必要不可欠な措置となっていきます。

実際に、大切な労働者が病気にかかってから検討するのでは、時間も労力もかかりますし、労働者と医療機関、そして企業との連携がスムーズに行えるとは考えにくいかと思います。そのため、実際に起こってからではなく、今から事前に準備を進めることで働きやすい労働環境の整備や健康経営という考え方に基づいた会社経営を行って頂きたいと思います。

阪神労働保険事務センターでは、両立支援コーディネーターの認定資格をもつ社労士が、企業様のご相談をお受けしております。会社の経営に関するご相談人事労務管理についてなどお気軽にお問い合わせ下さい。

※記載内容はコンテンツ公開時点での情報に基づくものであり、法改正等により予告なく内容が変更となる場合があります。

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