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お役立ち情報

介護休業制度

このお役立ち情報のポイント

  1. 介護休業制度について知りましょう。
  2. 介護休業、介護休暇について違いを理解しましょう。
  3. 仕事と介護の両立支援制度を導入し、将来の介護離職を防止する目的だけではなく、働きやすい職場環境を整えていきましょう。

育児・介護休業法とは

育児・介護休業法とは、育児や介護を理由に長期的に仕事をすることができなくなってしまう労働者に対して休暇の取得を促進したり、勤務時間を調整するなどして離職を防ぎ、育児や介護と仕事を両立することができるようにするための法律です。この法律は会社の規模に関わらず、要件を満たしていれば誰でも法に基づき利用することができます。

現代の少子高齢化社会において、介護休業による離職が問題視されています。直近の調査だと2021年の1年間の離職人数が約720万人、そのうちの10%が個人的理由(結婚、出産、育児、介護・看護など)による離職という結果がでています。2018年、2019年が最も多く約10万人ほどが個人的理由による離職となりました。企業としても「介護」と「仕事」を両立できるように支援し、労働者の生活を支えるということだけでなく、重要な労働力を継続して確保することが必要となります。

介護離職の問題

介護休業と介護休暇

介護休業法のお話をするにあたって、まずは確認しておきたい2つの言葉があります。「介護休業」と「介護休暇」というとても似ているこれらの言葉は、どちらも介護休業法の制度として国で定められた休暇取得促進の対策で、目的は同じように介護が必要な家族のために休みをとることができる制度です。それぞれの言葉によって条件や休暇の取得日数などに違いがありますので、確認していきましょう。

介護休業 介護休暇
対象労働者 対象となる労働者 対象家族を介護する労働者
対象労働者とならない場合 日雇い労働者
介護休業取得予定日から93日を経過する日から6カ月を経過する日までに契約期間が満了するもの、または更新されないことが明らかな場合
労使協定を締結している場合に対象外となる労働者 入社1年未満の労働者 入社6カ月未満の労働者
申出から93日以内に雇用期間が終了する労働者
1週間の所定労働日数2日以下の労働者
対象となる家族 要介護状態にある配偶者、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫(図1)
取得期間・回数 ①対象家族1人につき分割3回まで ①対象家族1人の場合は年5日まで
通算93日まで ②対象家族2人以上の場合は年10日まで
③1日または時間単位にて取得
取得方法 休業開始予定日の2週間前までに事業主に申出 特に定めなし
休業補償 介護休業給付金 ※会社から給与支給がある場合には給付金が減額調整される可能性あり 有給か無給かは会社規定によります。

 ※図1:親族の範囲は以下となります。(厚生労働省「介護休業とは」より抜粋)

「介護休業」は比較的長く休業する必要がある場合に、雇用保険被保険者であれば介護休業給付金などで休業補償制度を利用することができるため、休業による生活費の不安が軽減されます。介護が必要になるとわかった頃に、介護と仕事を両立するための準備期間として利用してみましょう。「介護休暇」は有給休暇のようにちょっとした短期間・短時間の休暇が必要な時に利用すると便利です。

事業主は、会社内に介護休業制度がない場合でも、労働者が上記の要件を満たしている場合には、「介護休業」も「介護休暇」も拒否することは出来ません。もちろん「介護休業」や「介護休暇」の取得を理由に解雇や不当な取扱いをすることも禁止されています。

介護休業給付金について

概要

介護休業給付金は雇用保険の休業保障制度です。「介護休業」を申し出た労働者がいた場合には、事業主は介護休業給付金の制度について労働者に説明した上で、申請準備を進める必要があります。

介護休業給付金の要件

介護休業給付金の受給要件は以下のようになります。

●介護休業を取得できる対象労働者のうち、介護休業を開始した日の前2年間に雇用保険被保険者期間が12カ月以上ある場合
※この12カ月以上とは、各月の賃金支払基礎日数が 11 日以上ある月が通算して12カ月以上である必要があります。12カ月ない場合は、完全月で賃金の支払いの基礎となった労働時間数が 80 時間以上の月を1か月として取り扱うこととなります。
※介護休業を開始した日の前2年間に、疾病、負傷等の止むを得ない理由により引き続き30日以上賃金の支払を受けることができなかった期間がある場合は、当該2年間にこれらの理由によって賃金を受けることのできなかった期間(最大2年間)を加算することができます。

●介護休業給付金は、雇用継続を目的とした給付金のため、介護休業を開始した時点で、介護休業終了後に離職が決まっている場合は、対象となりません。

支給額

介護休業給付金の支給額は、介護休業を開始した日から起算して1か月ごとの期間で計算されます。
※その1か月の間に介護休業終了日を含む場合はその介護休業終了日までの期間を対象とします。これらの各期間を「支給単位期間(支給対象期間)」といいます。

各支給対象期間ごとの支給額は、原則、休業開始時の賃金日額に支給日数をかけたものの67%となります。
※賃金日額とは、原則、介護休業開始前6カ月間の賃金を180で割った額となります。
※支給日数とは、基本30日ごと、休業終了日の属する支給対象期間はこの支給対象期間全体の日数のことをいいます。

支給対象期間中に賃金の支払いがあった場合は、賃金の額によって減額されて支給されます。介護休業の期間を対象として支払われた賃金と「休業開始時の賃金日額に支給日数をかけたものの67%」の額の合計が、賃金月額(賃金日額×30日)の

  • 13%以下の場合・・・賃金月額の67%相当額を支給
  • 13%を超えて80%未満の場合・・・賃金月額の80%相当額と賃金の差額を支給
  • 80%以上の場合・・・支給なし

となります。

支給申請期間

1回の介護休業終了後、終了日の翌日から2ヶ月を経過する日の属する月の末日までに申請が必要です。申請は事業主が行います。

提出書類

必要な書類、添付書類は以下となります。

  • 休業開始時賃金月額証明書
  • 介護休業給付金支給申請書
  • 被保険者が事業主に提出した介護休業申出書
  • 介護対象家族の方の氏名、被保険者本人との続柄、性別、生年月日等が確認できる書類(住民票記載事項証明書等)
  • 介護休業の開始日・終了日、介護休業期間中の休業日数の実績が確認できる書類(出勤簿・タイムカード等)
  • 介護休業期間中に介護休業期間を対象として支払われた賃金が確認できる書類(賃金台帳等)

提出先

事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。
※電子申請による支給申請も可能です。

介護休業給付金

介護休業&介護休暇での注意点

「介護休業」、「介護休暇」を活用する上で、以下のことに注意しましょう。

●育児・介護休業法のうち育児休業に対しては、社会保険料の免除などの法整備がなされていますが、介護休業は育児休業に比べて取得期間が短期間なこともあり、社会保険料は免除されません。

要介護状態とは、2 週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある場合をいいます。具体的な判断基準については、厚生労働省発行の資料「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」をご参照下さい。但し、こちらに掲載されている判断基準はあくまで参考基準となります。判断基準に従うあまり労働者が介護休業を取れなくなるようでは本末転倒です。事業主は、労働者やその家族の状況をしっかりと把握して柔軟に対応する必要があります。
また、資料にも記載がありますが、介護保険の要介護認定の結果通知書や医師の診断書の提出を、介護休業制度の利用条件とすることはできません。介護休業給付金支給申請の際にも、要介護状態にあるかどうかについての添付書類は提出しませんので、対象家族の介護状態については事業主が確認する必要があります。

最後に

病気の治療、子供の育児、家族の介護など、様々な家庭環境の変化によって、仕事との両立に不安や悩みを抱えることは誰でもあるかと思います。その中でも介護と仕事の両立は、将来どうなるのか先が見えない不安が大きく、労働者の負担も大きくなることが多くあります。今から仕事と介護の両立支援制度を導入することによって、将来の介護離職そのものを防止する目的だけではなく、働き方を変えていくチャンスになることもあります。雇用維持や働く環境の整備など、お困りなことがありましたら、ぜひお気軽に弊社にご相談ください。

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