保険適用事業とは
このお役立ち情報のポイント
- 適用事業所について理解しましょう。
- 労災保険・雇用保険・社会保険の強制適用事業所を確認しましょう。
- 事業を始める際に必要な労働保険・社会保険をきちんと把握しスムーズに事業経営をスタートしましょう。
会社経営における各保険の「適用事業所」とは
「適用事業所」とは
会社を経営する際、国が定める各種保険に加入する義務があります。保険の適用は事業所単位で行われ、保険の適用を受ける事業所を「適用事業所」といいます。各保険に対して、会社の事業規模や種類によって適用条件が異なります。
「適用事業所」の種類
「適用事業所」には、2種類あります。
- 強制適用事業所
法律によってその保険への加入が義務付けられている事業所 - 任意適用事業所
強制適用事業所とならない事業所で、厚生労働大臣の認可を受けて、その保険の適用となる事業所
会社を経営する際に必要な保険には、労災保険、雇用保険、社会保険(健康保険、厚生年金)があります。それぞれに対して、どのような事業規模や種類の会社が強制適用事業所となるのか、確認してきましょう。
労災保険について
労災保険とは
就業中(業務上)もしくは通勤中の事故によりケガや病気になった場合に、療養・休業・障害・死亡に対し、被災労働者やその遺族を保護するために必要な保険給付を行う制度です。労災保険料は、全額事業主負担となります。
労災保険の適用事業所
労災保険は、労働者を1人でも雇用する事業所はすべて「強制適用事業所」となります。この場合の労働者とは、正社員、パートタイム労働者などの雇用形態に関わらず、雇用され、賃金が支払われている者すべてを指します。また会社単位ではなく、事業所単位として扱われるルールとなる点に注意が必要です。
「暫定任意適用事業」と呼ばれる、農林水産関連の事業で個人経営かつ常時労働者が5人未満の事業所は、労災保険の適用が任意となっており、厚生労働大臣の認可を受けることで適用事業所となることが可能です。林業に関しては別段の定めがあり、個人経営かつ労働者を常時には雇用しない又は1年以内の期間において使用する労働者数が延べ300人未満の事業は「暫定任意適用事業」 となります。。
雇用保険について
雇用保険とは
主に求職者給付、教育訓練給付、育児介護休業時、労働者の失業や、雇用が困難となったときの労働者の生活や雇用の安定を維持するための保険給付、また再雇用の支援のための保険給付を行う制度です。
「労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のために、失業された方や教育訓練を受けられる方等に対して、失業等給付を支給します。また、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進等をはかるための二事業を行っています。」(厚生労働省HP「雇用保険制度の概要」抜粋)
雇用保険の保険料は、事業主と労働者それぞれの負担となります。雇用保険被保険者である労働者の毎月の賃金からの控除となります。令和3年度の雇用保険料率については、厚生労働省発行の資料をご参照下さい。
雇用保険の適用事業所
雇用保険は、労災保険と同様に労働者を1人でも雇用する事業所はすべて「強制適用事業所」となります。この場合の労働者とは、正社員、パートタイム労働者などの雇用形態に関わらず、雇用され、賃金が支払われている者すべてを指しますが、短時間労働者で一定条件を満たさない場合には、雇用保険の対象とならない場合もあります。そして、会社単位ではなく事業所単位として扱われるルールとなる点に注意が必要です。
「暫定任意適用事業」については、農林水産関連の事業で個人経営かつ常時労働者が5人未満の事業所は、労災保険の適用が任意となっており、厚生労働大臣の認可を受けることで適用事業所となることが可能です。
社会保険(健康保険・厚生年金)について
健康保険とは
業務外の病気や怪我の治療、出産に関わる費用などを保険給付する制度です。
厚生年金保険とは
公的な年金制度で、加入期間や報酬により基礎年金である国民年金に上乗せされる年金制度です。年金制度の主な種類は「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3つの給付となります。
社会保険(健康保険・厚生年金保険)の保険料は、 事業主と労働者それぞれ折半での負担となります。 社会保険被保険者である労働者の毎月の賃金からの控除となります。令和3年度の社会保険料率については、全国健康保険協会発行の資料をご参照下さい。
社会保険(健康保険・厚生年金) の適用事業所
社会保険(健康保険・厚生年金)の適用事業所は、上記のフローチャートを基に、強制適用事業所か任意適用事業所かを判断することができます。
■強制適用事業所
①法人の事業所(事業主のみの場合を含む)
②常時雇用する労働者数5人以上の個人事業所(非適用業種(※)を除く)
■任意適用事業所
①常時雇用する労働者数5人未満の個人事業所
②常時雇用する労働者数5人以上の非適用業種(※)である個人事業所
※非適用業種・・・農林水産、専門・技術サービスのうちの士業(法律事務所、特許事務所、公認会計事務所等)やデザイン業・経営コンサルタント業・写真業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業(旅行業、火葬・墓地管理業を除く)、娯楽業(映画館、スポーツ施設提供業等)、警備業、政治・経済・文化団体、宗教等
最後に
個人事業主や法人設立など、事業を始める際には必ず保険成立が必要となります。事業をスムーズに開始するために、とても重要なことになりますので、最初からつまずかないように、各種保険の適用事業所に関して理解して頂き、スムーズに事業経営をスタートさせましょう。
弊社、阪神労働保険事務センターでは、従業員を雇い入れた際に必ず必要となる労働保険・社会保険手続きの業務代行サービスを行っています。労働保険(=労災保険+雇用保険)に関するお手続き代行・ご相談は労働保険事務組合である弊社へ、そして社労士事務所も併設しておりますので、社会保険の新規適用のお手続き関するご相談も、ぜひ弊社までお気軽にお問合せ下さい。