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お役立ち情報

社会保険における被扶養者の要件

このお役立ち情報のポイント

  1. 社会保険の被扶養者について理解しましょう。
  2. 被扶養者の要件について、その範囲や収入の基準等を確認しましょう。
  3. しっかりと被扶養者の要件を確認の上、正しく被扶養者資格の認定が行われているかどうかを再確認しましょう。

被扶養者とは

社会保険に加入している被保険者は、業務外の病気や怪我の治療、亡くなった場合、出産に関わる費用に対して保険による給付が受けられますが、その被扶養者についても病気や怪我の治療、死亡、出産に関わる保険給付を受けることができます。この被扶養者には、被保険者との関係における要件によって範囲が定められています。

ここに注意!
社会保険の被扶養者は、税法上の被扶養者(扶養親族)とは、被保険者との関係や収入の基準等における要件に関して大きく異なりますので注意しましょう。

被扶養者の要件

被扶養者として認定されるための要件を確認していきましょう。被扶養者の要件は主に以下の3つの分けられます。

被扶養者の範囲

被扶養者は、父母、祖父母などの直系尊属(「直系尊属」とは、被保険者本人と直接つながっている親族のことです。養父、養母は直接の血のつながりがありませんが「養子縁組」を行った時点で「直系尊属」となります(民法第727条))、配偶者(事実婚を含む)、子、孫、兄弟姉妹のうち、主として被保険者に生計を維持されている者、と定められています。

これらに該当する人は、必ずしも被保険者と同居している必要はありません。被保険者との同居関係については、以下のように定められています。

  1. 被保険者と同居している必要がない者=配偶者、子、孫および兄弟姉妹
  2. 被保険者と同居していることが必要な者=上記1以外の3親等内の親族(伯叔父母、甥姪とその配偶者など)、内縁関係の配偶者の父母および子(当該配偶者の死後、引き続き同居する場合を含む)

ここに注意!

  1. 後期高齢者医療制度の加入者は被扶養者にはなれません。後期高齢者医療制度の加入要件は、
    ①75歳以上の方
    ②65歳以上75歳未満で一定の障害がある方
    となっています。
  2. 同一戸籍に入っているか否かは問われません。
  3. 被保険者が世帯主であるか否かは問われません。

収入要件

被扶養者として認定されるための要件には、被扶養者の収入に対して基準が定められています。

<収入の基準>
認定対象者の年間収入が130万円未満(60歳以上または障害者の場合は年間収入180万円未満)かつ

  1. 被保険者と同居している場合、収入が扶養者(被保険者)の収入の半分未満
  2. 被保険者と別居している場合、収入が扶養者(被保険者)からの仕送り額未満

であることが要件として定められています。

ここがポイント!
●収入の基準となる「年間収入」とは、被扶養者に該当する時点および認定された日以降の年間の見込み収入額のことをいいます。具体的には、認定対象者が給与所得等の収入を得ている場合には月額108,333円以下、認定対象者が雇用保険等の受給者である場合には日額3,611円以下であれば要件を満たすとされています。「年間収入」は、先の収入に対する見込み額をいいますので、過去の収入、つまり認定を受けようとする認定日までの収入は、認定に対して特に影響はありませんが、過去の状況とこの先の状況が変わらない場合、前年の収入を今後の見込みとして使用する場合もあるので注意が必要です。

●「年間収入」とはその名の通り、「所得」ではなく「収入」を指しますので、非課税の収入や手当も含まれます。雇用保険の失業等給付や公的年金、健康保険の傷病手当金、出産手当金等の今後も継続して得られる手当等も含まれます。つまり、一時的に受け取った給付金等は含まれませんので、この点に注意しましょう。

国内居住要件

国内居住要件とは、つまり認定対象者の「住民票が日本国内にある」ということになります。一定期間、海外で生活していたとしても、住民票が日本国内にある場合には、国内居住要件を満たすことになり、その他の要件を全て満たせば、被扶養者として認定される可能性があります。

被扶養者

事業主が行う被扶養者資格の確認

従業員(被保険者)が家族を被扶養者とする場合

新たに協会けんぽの被保険者となった方に被扶養者として認定が必要な方がいたり、すでに被保険者である方へ被扶養者の追加が必要となった場合などに、被保険者が事業主を経由して「被扶養者(異動)届」を提出する必要があります。そのため、被扶養者の要件に該当するかどうか、事業主もしっかりと確認しましょう。

ここがポイント!
扶養認定をうける方の年間の見込み収入額が収入要件を満たしているかを確認するために、提出資料への添付書類として課税証明書等の提出が原則必要となります。しかし、届出様式の中で事業主が「収入に関する証明の添付が省略されている者は、所得税法上の控除対象配偶者・扶養親族であることを確認しました」とチェックをいれることで、収入要件に関する添付書類を省略することが可能となります。つまり、扶養認定の届出を行う際には、被扶養者の要件に該当するか否か、会社側(事業主)でも確認する必要があるということになります。

被扶養者状況リストの再確認を行う場合

健康保険法施行規則第50条に基づき、被扶養者状況の確認が必要とされています。例年10月下旬から11月上旬にかけて「被扶養者状況リスト」が協会けんぽより送付され再確認が必要となります。これは、単に被扶養者の現況確認をするだけでなく、本来対象とならない被扶養者の方を被扶養者から解除することが出来るなど、現在支払われている保険料の再確認や軽減につながる場合もありますので、とても重要な手続きとなります。

ここがポイント!
医療費財源の確保の観点から、ここ最近は被扶養者の要件に該当するかどうかの確認が厳しくなってきています。そのため、会社側(事業主)は、すでに被扶養者の認定を受けているご家族の収入要件などをこの機会にしっかりと確認することが必要となります。その方法として、年末調整資料などで、従業員(被保険者)のご家族(被扶養者)の収入情報などを入手する機会もありますので、活用していきましょう。その際に、過去の収入にはなりますが今後も年末調整資料同様の収入が見込まれるかどうかの確認をすることが重要となります。

上記2つの場合、どちらにおいても、会社によっては、被扶養者が就業している場合、被扶養者の就業先に見込みの収入額について証明を求める場合があります。

最後に

扶養認定を受けた被扶養者は社会保険料を納付する必要がないので、お得に見えるかもしれませんが、お得と思って保険給付を受け続けていると、協会けんぽの拠出金等の金額が過大算出され、巡り巡って、加入者(被保険者)の保険料負担が増大するばかりです。また、上記にも記載しましたが、被扶養者として要件に当てはまらない方を被扶養者としてしまっている場合も同様のことが発生してしまいます。それは、つまり被保険者が勤務する先の事業主の負担も増えることに繋がってしまいますので、不必要な保険給付を出来る限り削減し、保険料を削減するためにも、ぜひ「被扶養者状況リスト」の再確認をしっかりと行ってください。

事業主の皆さんや人事労務管理担当の方々は、被扶養者への確認作業は意外と時間も手間もかかる作業です。毎年のことですので、被扶養者への確認作業についてもマニュアル化してみませんか。弊社ではこういった人事労務管理に関するご相談や、労働保険・社会保険手続きに関するご相談をお受けしております。お気軽にお問い合わせ下さい。

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