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お役立ち情報

健康保険料率の引き下げ

このお役立ち情報のポイント

  1. 健康保険料率の仕組みについておさらいしましょう。
  2. 健康保険料率を決定するためのインセンティブ制度について理解しましょう。
  3. 健康保険料率を下げるために、今から出来る具体的な対策について確認しましょう。

健康保険料率の仕組み

労働者の皆さんや会社でお給料計算を担当されている方は特に、毎年3月頃になると気になるのが健康保険料の改定ではないでしょうか。協会けんぽから毎年2月下旬頃に改定される健康保険料率・介護保険料率が公表されます。今年は引き上げになるのか、引き下げになるのか気になるところですよね。

健康保険料率は、働いている事業所のある都道府県別に決められています。※社会保険料の改定については別ページ「コラム:令和5年度 健康保険料・介護保険料改定」をご参照ください。

ではそもそもなぜ都道府県ごとに異なる健康保険料率を適用するのか、健康保険料率が引き上げになる都道府県と引下げになる都道府県にはどのような違いがあるのか、次の項目でご紹介していきます。

保険料の改定

新たな保険料率決定の仕組み~インセンティブ制度~

なぜ都道府県ごとに異なる健康保険料率を適用するのか、健康保険料率が引き上げになる都道府県と引下げになる都道府県にはどのような違いがあるのか、お話していきましょう。

まず、なぜ都道府県ごとに異なる健康保険料率を適用するのか、という点についてですが、「国民医療費」と呼ばれる保険診療の対象となり得る傷病の治療に要した費用について、各年度ごとに各都道府県ごとの累計と全国平均とを比較して評価される成績によって保険料率が決定する、という仕組みを取っているからです。

全国平均と比較して、医療費を多く使用している都道府県では、翌々年度の健康保険料が高くなり、逆に医療費が減っている都道府県では、翌々年度の健康保険料が安くなる、という仕組みです。この全国平均と比較した際の「成績」を評価する制度のことを「インセンティブ(報奨金)制度」といいます。

インセンティブ制度の5つの指標

  1. 特定健診等の実施率
  2. 特定保健指導の実施率
  3. 特定保健指導対象者の減少率
  4. 医療機関への受診勧奨を受けた要治療者の医療機関受診率
  5. 後発医薬品の使用割合

この5つの指標を評価して、各都道府県の成績を出し健康保険料率を決定していきます。各指標の具体的な内容と皆様に取り組んで頂きたいことは次の項目でご紹介していきます。

インセンティブ制度の成績評価

5つの評価指標~皆様に取り組んでいただきたいこと~

前項目で健康保険料率を決定するインセンティブ制度の5つの指標をご紹介しました。それぞれの指標でどのように成績を上げることができるのか、つまりどのようなことをすれば健康保険料率を下げることが出来るのか具体的な対策をご紹介します。

特定健診等の実施率

従業員全員に対して、健康であることの重要性を伝え、年1度の定期健診の受診を強く勧めましょう。協会けんぽでは対象者に対して、生活習慣病予防健診や特定健診の費用補助を行っていますので、補助を利用して健診を実施しましょう。また労働安全衛生法においても会社に対して定期健診(法定健診)の実施義務がありますが、協会けんぽの生活習慣病予防健診(一般健診)は法定健診よりも充実していますので、一般健診を法定健診の代わりとすることも可能です。

特定保健指導の実施率

上記項目①の健診結果を基に、メタボリックシンドロームに対するリスク数が該当した場合、特定保健指導の対象となり、協会けんぽから「健康サポート(特定保健指導)」の案内が届きます。「健康サポート(特定保健指導)」の案内を受け取った際にはそちらを活用しましょう。

企業は従業員がサポートを受けやすいように、場所の提供や勤務時間の調整を行うようにすることが重要です。特定保健指導(健康サポート)とは、保健師や管理栄養士等の専門家が行う生活習慣を見直すサポートです。20分程度の面談で健診結果を振り返り、一人ひとりのライフスタイルにあった「無理なく」そして「継続可能な」生活習慣改善をお手伝いするサポートです。被保険者(お勤めされている本人)は協会けんぽが費用補助をするため、無料で利用することができます。

特定保健指導対象者の減少率

特定保健指導によりメタボリスクが減少することによって、より健康に近づき、さらには健康保険料の引き下げにも繋がります。企業は従業員が対象者にならないように従業員の健康づくり(健康経営)に取り組みましょう。

医療機関への受診勧奨を受けた要治療者の医療機関受診率

健診結果で「要治療者(再検査含む)」の判定を受けた従業員がいた場合は、必ず医療機関での受診を勧めましょう。特に自覚症状がない場合は仕事を休んでまで医療機関での受診する従業員はあまりいません。そのため、会社側が従業員が時間を取りやすいような環境を作るなどして受診を促しましょう。
今は大丈夫、そんなに深刻ではないといったような自己判断は禁物です。放置すると、様々な生活習慣病等を発症し、今後重い病気に繋がり働けなくなる恐れもあります。健康でいることの重要性を伝えていきましょう。

後発医薬品の使用割合

医療機関や薬局でお薬を受け取る際には、積極的にジェネリック(後発)医薬品を利用しましょう。
ジェネリック医薬品とは、効き目や安全性が実証されている薬効成分(主成分)が同じであることが審査され、国から製造販売が承認された安価なお薬です。ジェネリック医薬品の積極的な使用が保険料の引き下げに繋がるだけでなく、ご自身で負担されるお薬代の軽減にも繋がります。

健康保険料率の引き下げ

最後に

インセンティブ制度の導入により、各都道府県ごとの保険料率は、被保険者(従業員)が使用する医療費と被保険者(従業員)の健康に対する行動の2点から決定されるようになりました。企業が率先して従業員の健康づくりに取り組んでいくことで、被保険者個人で負担する社会保険料だけでなく、企業として負担する社会保険料の軽減に大きく繋げることができるます。

また、社会保険料の増減だけの問題でなく、今後は少子高齢化の現状の中、労働人口の減少も問題視されているのため、従業員の健康維持を会社が積極的にサポートし永く健康に就労してもらうことも企業としては、必要な取り組みといえるでしょう。

弊社では、労働保険・社会保険手続きに関するサポートや人事労務管理経営に関するご相談をお受けしております。お気軽にお問い合わせ下さい。

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