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コラム

2024年度に施行される法改正ポイントはこれ!

2024年度に施行される法改正のうち、労働関連法に関する法改正は5つとなります。これらの法改正のポイントをまとめてみましたので、法改正内容が実務に反映出来ているか、正しく対策が取れているかをこの機会に確認しましょう。

2024年4月施行の労働関連法改正

労働基準法&労働契約法:労働条件明示に関する改正

概要

2024年4月に法改正が施行される「労働条件の明示事項の追加」では、全ての労働者に対する就業場所・業務の変更の範囲明示に関する追加や、有期雇用労働者に対する更新上限の有無と内容、更新上限を新設または短縮する場合には、その理由についての説明、そして「無期転換制度」の申込機会の周知及び無期転換後の労働条件の明示が追加されました。
有期雇用労働者に対する「無期転換制度」については、無期転換制度が2018年4月に導入されてからしばらく経つにもかかわらず、労働者への知名度も低く、会社側も導入に向けた体制が整っていないという現状があります。有期雇用労働者から申し込みを受けた場合に断ることはできないので、厚生労働省が提供している導入支援策を積極的に活用してみましょう。

この法改正のポイント!

  • 無期転換制度とは、有期雇用労働者の契約期間が5年を超える場合、有期雇用労働者からの申込により無期労働契約に転換できる制度です。有期雇用労働者から申込を受けた場合には、会社側はこれを断ることは出来ません。
  • 2024年4月1日以降を契約開始日とする雇用契約でも、契約締結日が2024年3月末日までの場合には改正前のルールで契約締結は可能です。ただし法改正に適用した内容での契約が望ましく推奨されています。

「労働条件の明示事項の追加」及び「無期転換制度」に関する詳細は、別ページ「お役立ち情報:【2024年4月施行】労働条件明示事項が追加されます」をご参照下さい。

障害者雇用促進法:障害者法定雇用率の引き上げ

概要

2024年4月以降、民間企業における障害者の法定雇用率が2.3%から2.5%へ引き上げとなります。対象事業主の範囲についても、常時雇用労働者数が43.5人以上だったものが、40.0人以上で障害者1人以上を雇用する義務が発生します。

さらに、週所定労働時間が10時間以上20時間未満の精神障害者、重度身体障害者及び重度知的障害者について、障害者実雇用率のカウント上、0.5人として算定できるようになります。

この法改正のポイント!

  • 2024年4月以降、障害者雇用に関する助成金が新設、拡充される予定です。法定雇用率の引き下げに伴い、障害者雇用に取り組む事業主様は、厚生労働省からの情報をチェックし、活用してください。

障害者法定雇用率の引き上げについての詳細は、別ページ「ブログ:【2024年4月施行】障害者の法定雇用率が引上げられます」をご参照下さい。

労働基準法:裁量労働制の改定

概要

業務の性質上、業務遂行の手段や時間配分等を従業員の裁量にゆだね、実際の労働時間に関係なくあらかじめ定めた一定時間(みなし時間)だけ労働したものとみなす制度「裁量労働制」。その中でも「専門業務型」について、2024年4月以降に導入する際、労働者本人同意が必須事項になります。併せて同意及び同意撤回についての記を労使協定の期間と、さらに3年間保管する必要があります。

裁量労働制で働く労働者に、適性な労働条件の確保を目的として「健康・福祉確保措置」がありますが、推奨される措置実施数が明示されました。措置の選択肢が4つ追加され、各措置グループからそれぞれ1つ以上の実施が推奨されます。

また専門業務型裁量労働制の対象業務に「銀行または証券会社でM&Aの考案・助言をする業務」が追加されて合計20種類の業務について専門業務型裁量労働制が適用できるようになります。

この法改正のポイント!

  • 2024年4月1日以降に専門業務型裁量労働制の適用となる労働者がいる場合は、労使協定期間がまだ残っている場合でも、2024年3月31日までに協定届を届出る必要があります。時間に余裕をもって届出ましょう。

裁量労働制の改定についての詳細は、別ページ「ブログ:【2024年4月施行】裁量労働制の導入・継続に関する法改正」をご参照下さい。

労働基準法:猶予事業に対する時間外労働の上限規制

概要

「働き方改革」の一環として定められた時間外労働の上限規制について、2024年4月以降、猶予適用事業・業務についても適用が開始されます。猶予適用業種である建設業のうち、災害の復旧・復興の事業と自動車運転の業務、及び医師については例外が設けられていますが、原則、時間外労働の上限規制は適用開始となるので、現在の労働状況について時間外労働の上限規制を遵守できるよう業務の見直しが必要です。

この法改正のポイント!

  • 猶予適用事業・業務に該当する事業所は、今まで以上に勤怠管理を徹底する必要があります。働き方改革推進支援助成金、業務改善助成金やキャリアアップ助成金等を上手に活用し、法令遵守しましょう。

猶予事業に対する時間外労働の上限規制についての法改正は別ページ「法改正:【2024年4月施行】2024年問題・猶予事業にも時間外労働の上限規制が適用されます」をご参照下さい。

2024年10月施行の労働関連法改正

年金改革法:社会保険の適用範囲の拡大

概要

パート・アルバイトなどの短時間労働者が社会保険の被保険者となるための条件は、原則、所定労働時間が通常の労働者の4分の3以上であることとされていますが、2022年10月以降、特定適用事業所の事業規模要件の段階的な変更に伴い、パート・アルバイトなどの短時間労働者の社会保険の加入条件が拡大されます。

この法改正のポイント!

  • 2022年10月以降は、対象となる特定定期用事業所の従業員数の規模要件は101人以上企業でしたが、2024年10月以降はこの要件が51人以上となります。被保険者数51人以上の企業で働くパート・アルバイトなどの短時間労働者は、所定労働時間がフルタイム労働者の4分の3未満でも、加入対象となる可能性があります。※厚生年金保険の被保険者数は、フルタイムの従業員数と週労働時間がフルタイムの4分の3以上の従業員数(パート・アルバイトなどの短時間労働者を含む)を加算した人数となります。
  • 対象企業で働くパート・アルバイトなどの短時間労働者は、①週の所定労働時間が20時間以上である、②2か月を超える雇用期間が見込まれる、③賃金の月額が8.8万円以上、④学生ではない場合に社会保険の新たな加入者となります。
  • 対象となる事業所は社会保険料の負担が増えることになります。対象者を洗い出して試算しておきましょう。

年金改革法における「社会保険適用拡大」の詳細については「ブログ:社会保険適用拡大」をご参照下さい。

最後に

上記でご紹介した2024年4月に施行となる法改正に該当する中小企業の皆さんは、法改正に向けての取り組みが必要となります。障害者雇用や社会保険適用拡大等は金銭的に大きな影響が出る法改正となりますので、事前に準備をしていきましょう。

また、法改正は助成金等の支援を受けられる機会でもありますので、ぜひ上手に活用して下さい。法改正に対応するだけでなく、労働環境の向上、ひいては生産性向上に向けて取り組んでいきましょう。

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