2022年10月以降の最低賃金額改定について
自分が働いて得るお給料、正しい金額をもらえているのか、高いのか低いのか、考えたことはありますでしょうか。働く人すべての人に関係する「最低賃金」、これをきちんと理解することで労働に対する最低限の対価を得ているのかを確認する必要があります。「最低賃金」は毎年10月頃に金額の改定が行われます。2022年の最低賃金の引き上げは、全国平均31円アップと過去最高額の上げ幅となります。特に事業主の皆さんは「最低賃金」に関してしっかりと理解して頂き、労使トラブルや罰則の対象とならないように気をつけて頂くこと、そして人件費の見直しを行う機会にして頂けたらと思います。
前回記事からの参照
※最低賃金制度に関する定義や種類、対象となる労働者などの詳細は「法改正:2021年10月以降の最低賃金額改定について「最低賃金制度とは」」をご参照ください。
※最低賃金の計算方法については「法改正:2021年10月以降の最低賃金額改定について「最低賃金の計算方法」」をご参照ください。
2022年10月改定の最低賃金
最低賃金額を決める際に、各都道府県の経済実態に応じて全都道府県をA、B、C、Dの4つのランクに分け、それぞれに今年度の引上げ額の目安が提示されます。2022年6月28日に行われた中央最低賃金審議会で使用された各都道府県の目安は以下となります。
Aランク31円、Bランク31円、Cランク30円、Dランク30円
ランク | 都道府県 |
A | 埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪 |
B | 茨城、栃木、富山、山梨、長野、静岡、三重、滋賀、京都、兵庫、広島 |
C | 北海道、宮城、群馬、新潟、石川、福井、岐阜、奈良、和歌山、岡山、山口、徳島、香川、福岡 |
D | 青森、岩手、秋田、山形、福島、鳥取、島根、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、 宮崎、鹿児島、沖縄 |
※地域別最低賃金額改定の目安に関する答申や公益委員会の見解等は厚生労働省該当ページをご参照下さい。
上記の目安通りに改定が行われた場合、全国の平均上昇額は31円(昨年は28円)となり、過去最高の引き上げ額となります。具体的な各地域の最低賃金額の改定後の額は厚生労働省発行の最低賃金関連ページをご参照下さい。このページには最低賃金の基礎知識や、労働者が自身の賃金と最低賃金を比較できるツール、中小企業事業主向けの助成金情報なども揃っていますので、一度ご覧くださいませ。
最低賃金と助成金
今回の最低賃金額の改定によって、労働者の賃金額が上がる場合、以下の3つの助成金が対象となる可能性がありますので、ご参考までにご確認下さい。
業務改善助成金
中小企業・小規模事業者向けに、業務改善・生産性向上のために国が助成金として支援し、事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための制度です。生産性向上のための設備投資や事業場内最低賃金の一定額以上の引き上げに対してかかった費用の一部を助成します。
働き方改革推進支援助成金
時間外労働の削減や年次有給休暇取得の促進に向けた環境整備等に取り組む中小企業事業主向けに、設定した成果目標に対する達成状況に応じて、実施に要した費用の一部を助成するものです。
キャリアアップ助成金
有期契約労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップのために、正社員化や処遇改善等の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。労働者の仕事への意欲・モチベーションアップ、そして能力向上によって事業の生産性を高めるため、そして優秀な人材を確保するためにこの助成金を活用することができます。
最後に
今回の最低賃金の引き上げは全国平均31円アップと過去最高額の上げ幅となります。月額に換算してみると約5000円の増額、さらには社会保険料の負担額も考慮すれば約6000円の増額となります。このことから原材料費の高騰に加え、人件費も企業にとっては大きな負担となるのがわかります。
最低賃金額の改定によって現在の賃金額の見直しを行うだけに止まらず、人件費以外の経費の見直しや削減、生産性向上に向けた取り組み、そもそもの経営方針についても今一度検討する時期となるのではないでしょうか。
弊社では賃金引上げを支援する助成金に関しての提出代行、生産性向上に向けた経営コンサルも行っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。