【2022年9月最新版】新型コロナウィルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置
2020年に新型コロナウィルスへの感染が蔓延し始め、2年半以上たった今でも新型コロナウィルスによる経済的な影響を受けている方は少なくありません。新型コロナウィルスへの感染数がピークの時に比べると以前よりは経済が少しずつ回復傾向にあり、雇用情勢も正常化に向かっているとの判断がなされました。そのため、2020年4月から緊急対応期間として引き続き期間延長・更新を続けてきた「新型コロナウィルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置」について、今回は日額上限金額を引き下げる方向となりました。また特例措置の設置が開始されてからの支給決定額が6兆円を超え、雇用保険の財源も圧迫されているのも一つの要因といえます。今回は2022年8月31日発表された特例措置の更新に関してご紹介します。
2022年8月31日付の変更点
2022年8月31日付で「令和4年10月以降の雇用調整助成金の特例措置等及び産業雇用安定助成金の拡充について」が発表されました。今回の大きな変更点は、令和4年10月及び11月の上限の引き下げです。下記の表でご確認下さい。
判定基礎期間 | 2022年7月~9月 | 2022年10月・11月 | |||||||||||||
中小企業 | 原則 |
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業況特例・地域特例 |
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大企業 | 原則 |
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業況特例・地域特例 |
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2022年6月28日付の更新内容については、別ページ「コラム:【2022年7月最新版】新型コロナウィルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置」をご参照ください。
実務上での注意点
業況特例について
以前までは、初回の申請の際に生産指標(月次売上など)を提出することで、継続的に業況特例を使うことが出来ていましたが、2022年4月1日以降の休業等に対する業況特例の申請については、判定基礎期間(1カ月単位)ごとに、業況(生産指標、売上等)の確認を行うため生産指標における最新の数値の提出が義務付けられました。判定基礎期間ごとの業況確認の結果、業況特例の要件を満たさない場合には原則的な措置を適用することとなりますので、ご注意ください。
平均賃金額(日額)の計算方法について
賃金総額を最新のものに変更して平均賃金額(日額)を計算します。直近の労働保険申告書の内容もしくは所得税徴収高計算書を使用します。
労働保険確定保険料申告書を使用する場合
2021年度の労働保険確定保険料申告書の受理日以降の最初の申請から、直近(2021年度)の確定保険料の算定に用いる賃金総額を使用します。
所得税徴収高計算書を使用する場合
2022年6月1日以降の最初の申請から、2021年度または2022年度の任意月の給与所得・退職所得の所得税徴収高計算書の額を使用します。
解雇等の有無について
2021年1月8日から判定基礎期間の末日までの解雇等の有無及び「判定基礎期間末日の労働者数が各月末の労働者数平均の4/5以上」の要件により適用する助成率を判断します。
生産指標要件
以前までは、前年(前々年または3年前)同月比で売上等の生産指標が1カ月5%以上減少している事業主が生産指標要件を満たす事業主とされていました。2022年10月以降は、前年(前々年または3年前)同月比で売上等の生産指標が1カ月10%以上減少している事業主が生産指標要件を満たす事業主となります。生産指標要件は、新型コロナウィルス感染症に伴う特例措置が始まってから一度も申請を行っていない事業主についてのみ、満たす必要のある要件となりますので、特例措置中に一度でも申請をしたことのある事業主は提出する必要はありません。
最後に
弊社での雇用調整助成金の申請代行件数も以前に比べると減少傾向にありますが、まだまだ経済や雇用情勢が回復しつつあるとはいっても、コロナ以前の状況にまで戻っている会社は多くはありません。しかし雇用保険の財源も圧迫している中で、企業も永遠と雇用調整助成金に頼って経営をしていくわけにもいきません。徐々に休業する割合を減らしながら、業務の正常化に向けて舵を取る時期がきているように感じます。
阪神労働保険事務センターでは、厚労省などの関連省庁の発表を引き続き確認しつつ、特例措置を延長している雇用調整助成金を上手に活用すること、そして業務の正常化に向けてのアドバイス等によって事業主様のサポートが出来るようにしていきたいと考えています。新型コロナウィルスによる影響だけでなく、日々の経営や助成金の申請に関するご相談など、お困りなことがありましたら、お気軽に弊社までお問い合わせ下さい。