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コラム

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置

新型コロナウィルス感染症が世界的に蔓延してから約1年5カ月が経とうとしています。一人ひとりの生活が以前とは大きく変わり、今まで予想もしなかったような状況に混乱や先の見通しのない不安が続いているかと思います。国全体の経済から個人の仕事・ビジネスに至るまで、その影響は計り知れません。このような事態において、事業の縮小を余儀なくされてしまった事業主に対し、労働者に休業手当等を支払う場合、その一部を助成する制度が「雇用調整助成金」です。新型コロナウィルス感染症の影響に伴う「雇用調整助成金」の特例措置に関して、ご紹介していきましょう。

雇用調整助成金とは

人々の消費行動の変化による景気変動や産業構造の変化による売り上げの減少などの経済上の理由によって、事業の縮小を余儀なくされた事業主に対して、引き続き安定した雇用を維持するために、従業員を一時的に休業させたり教育訓練や出向などを実施する際に発生する費用を、一部助成する制度です。雇用調整助成金を受給するためには、労使協定に基づき休業を実施し、従業員へ休業手当を支払っているということが前提となります。

助成金のイメージ

新型コロナウィルス感染症の影響による特例措置

本来の「雇用調整助成金」では要件が厳しくなかなか容易に申請出来るものではありません。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響による失業を防止するための特例措置により助成金の要件が緩和され、申請へのハードルが下がり、今まで申請をしたことがなかった会社でも申請しやすくなりました。

新型コロナウィルス感染症の影響における特例措置の緊急対応期間は、2020年4月1日から2021年7月31日までの期間に延長されています。この期間を1日でも含む賃金締切期間(判定基礎期間)が対象となります。下記にて、特例措置の助成内容をご紹介します。

特例措置の内容

雇用調整助成金の特例措置の助成内容
引用:雇用調整助成金ガイドブック(簡易版)2021別ウィンドウで開く年6月23日現在版(R3.7.1一部修正)

(注)判定基礎期間に応じて助成率や上限額が異なりますのでご注意ください。
※赤字は特例による上乗せを表します。
※業況特例・・・売上高等の生産指標が最近3か月平均で前年又は前々年同期に比べ30%以上減少している全国の事業主が該当します。
※地域特例・・・緊急事態宣言対象区域もしくはまん延防止等重点措置を実施すべき区域において、特定都道府県知事の要請を受けて営業時間の短縮等に協力する事業主が該当します。

助成率と助成額の具体例

<助成率>

新型コロナウィルス感染症の影響により事業を一時的に縮小し、休業を実施した場合の休業手当や教育訓練を実施した場合の賃金相当額、そして出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成率は、下記となります。

判定基礎期間 ~2021年4月末 2021年5月以降
中小企業 原則(※)
解雇あり 解雇なし
4/5 10/10
上限15,000円
解雇あり 解雇なし
4/5 9/10
上限13,500円
業況特例
解雇あり 解雇なし
4/5 10/10
上限15,000円
地域特例
解雇あり 解雇なし
4/5 10/10
上限15,000円
大企業 原則(※)
解雇あり 解雇なし
2/3 3/4
上限15,000円
解雇あり 解雇なし
2/3 3/4
上限13,500円
業況特例
解雇あり 解雇なし
4/5 10/10
上限15,000円
解雇あり 解雇なし
4/5 10/10
上限15,000円
地域特例
解雇あり 解雇なし
4/5 10/10
上限15,000円
解雇あり 解雇なし
4/5 10/10
上限15,000円

※2020年1月24日から判定基礎期間の末日までの解雇等の有無及び「判定基礎期間末日の労働者数が各月末の労働者数平均の4/5以上」の要件により適用する助成率を判断しています。(厚生労働省HP抜粋)

<具体例>

新型コロナウィルス感染症の影響により売り上げが減少し人件費を削減せざるを得なくなった兵庫県内の飲食店(中小企業)が、全社員30名に対して、2021年4月1日~30日に週5日勤務から週3日勤務(月間8日休業とする)へ勤務日数を変更し、全員の雇用を維持しながら給与の支払いに助成金を活用した場合、以下のように支給額が決定されます。

日額上限額15,000円 × 8日間 × 30名 = 3,600,000円

月額360万円の助成金が受給できるかたちとなります。

雇用調整助成金の受給対象期間の延長

雇用調整助成金は、通常であれば1年以内に実施した休業等について受給することが出来ます。しかし、新型コロナウィルス感染症の影響による特例措置が2021年7月31日まで延長されたことに伴い、「雇用調整助成金の対象期間の初日が2020年1月24日から同年12月31日までの間にある場合には、雇用調整助成金の対象期間を2021年12月31日までとすること」が決定し、1年を超えて引き続き受給することが出来るようになりました。

緊急事態措置及びまん延防止等重点措置に関わる特例の継続

緊急事態宣言の発令やまん延防止等の重点措置を実施すべき区域の公示により、営業時間の短縮や休業を余儀なくされた企業に対して、助成率を最大10/10、日額上限額を15,000円とする特例を設けています。この特例は、2021年6月18日の厚生労働省の発表において、同年7月31日まで延長された助成内容を、同年8月以降も延長する予定となっており、同年7月8日時点の最新の発表では同年9月末までの延長を予定、そして同年10月以降は今後の雇用情勢を踏まえながら検討され、同年8月中に発表があるそうです。

※特例の対象となる区域及び期間に関しては、厚生労働省のリーフレット(2021年6月24日時点)もしくは厚生労働省のホームページをご参照下さい。

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