労働保険法での「賃金」の範囲
賃金とされるもの | 賃金とされないもの | |
1 | 基本給(固定給)、深夜手当、時間外手当、休日手当、宿直・日直手当 | |
2 | 扶養手当、家族手当、皆勤手当、技術手当、職階手当、能率給、能力給 | |
3 | 遡って昇給した賃金 | |
4 | 有給休暇日の給与 | |
5 | 就業規則、労働契約等であらかじめ定めがあり、支給条件が明確なもの、事業主を経由したチップ、毎払い退職金(在職中に給与に上乗せ支給する退職金) | 結婚祝い金、死亡弔慰金、災害・療養・出産見舞金、退職手当、チップ・祝祭日などに特別に支給される給与等Ⓐ |
6 | 一定額の均衡給与が支給されている場合の住宅手当相当額、物価手当、食事、被服、住居の利益 | 一定額の均衡給与が支給されていない場合の住宅の貸与Ⓑ |
7 | 労働者が負担すべき所得税、社会保険料を事業主が変わって負担する部分 | 生命保険料の補助金、財産形成貯蓄奨励金等Ⓑ |
8 | 通勤手当 | 出張費、業務遂行に必要な作業用品などⒸ |
9 | 労働基準法第26条に基づく休業手当 | 労働基準法第76条に基づく休業補償費、解雇予告手当Ⓐ |
10 | 年4回以上の賞与 | 3か月を超える期間ごとに受ける賞与・臨時に支払われる賞与Ⓐ |
11 | 海外手当、在外手当Ⓐ | |
12 | 残業した際などにたまたま支給された夜食Ⓐ | |
13 | 離職後に支払われた未払い賃金 | 離職後に決定された給与(昇給含み)及び賞与Ⓐ |
14 | 単身赴任手当、勤務地手当、転勤休暇手当、受験手当(実質弁償的でないもの) | 赴任手当、移転料、寝具・工具手当、車の損料Ⓒ |
※横列の欄(同じ番号)は、例外や名称が似ているもの、落とし穴となるような部分の相互関係を表しています。また文章末尾のⒶもしくはⒷ、Ⓒは、以下の賃金とされない理由のどれに該当するかを表しています。
Ⓐ 任意・恩恵的に支払われるもの
Ⓑ 福利厚生として支払われるもの
Ⓒ 実費弁償的なもの
社会保険での「報酬」の範囲
社会保険/報酬月額 | ||
含まれるもの | 含まれないもの | |
通貨で支給されるもの | 基本給・能率給・奨励給・役付手当・職階手当・特別勤務手当・勤務地手当・物価手当・日直手当・宿直手当・家族手当・扶養手当・休職手当・住居手当・通勤手当(一括支給も含む)・別居手当・早出残業手当・継続支給する見舞金・在職中に前払いで支給される退職手当・年4回以上支給される賞与等 | 大入袋・病気見舞い金・傷病手当金、解雇予告手当・結婚祝い金・退職手当(原則)・出張費・交際費・慶弔費・労災保険の休業補償給付・年3回以下で支給される賞与等 |
現物で支給されるもの | 食事(食券を含む)・住宅(寮を含む)・被服(勤務服でないもの)・通勤手当に相当する定期券や回数券、乗車券・自社製品等 | 制服・作業服(業務に要するもの)・見舞い品・本人負担2/3以上の食事等 |
労働者が働いた対価として受け取るお金、仕事に従事することによって受け取るお金は、労働基準法、労働保険の保険料の徴収等に関する法律では「賃金」と呼ばれ、健康保険や介護保険、厚生年金保険の社会保険の分野では「報酬」と呼ばれます。上記の2つの表は、各法令における「賃金」や「報酬」に含まれるもの・含まれないものの具体例をご紹介しています。これらをきちんと理解することは、各種保険料の計算や現在のコロナ禍における休業手当等の計算が必要となった際に、どの手当を賃金として計算をする必要があるのかをきちんと把握するなど、日々の労務管理においてとても大切なことです。
「賃金・報酬」の定義および詳細の説明に関しては、「お役立ち情報:賃金・報酬」をご確認下さい。