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コラム

同一労働同一賃金の指導強化対策を!

厚生労働省が2019年に掲げた「働き方改革」の具体的な取り組みのうちの1つである「同一労働同一賃金」について、2022年10月末、厚生労働省はその取り組みを企業に徹底させるための指導強化として、是正指導を行っている労働局の雇用環境均等部と労働基準監督署の連携を徹底した取り組みを行うことを発表しました。「同一労働同一賃金」とは、正式名称「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」といい、パートタイム・有期雇用労働法第8条に定められています。具体的に、今回発表された指導強化がどのような取り組みなのかをご紹介していきます。

同一労働同一賃金とは

「同一労働同一賃金」とは、厚生労働省が2019年に掲げた「働き方改革」の一環として、同一企業、同一業務における「正社員と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差」を禁止する取り組みのことをいいます。雇用形態の違いがあったとしても、支払われる基本給や賞与、手当などのあらゆる待遇について、公平でかつ誰もが納得して処遇を受け働き続けることができる労働環境を目指した取り組みとなります。

2020年4月に労働者派遣法にて、そして2021年4月にパートタイム・有期雇用労働法にて全面的に施行されました。これらの法において、以下の3つのポイントを整備した法改正となります。

  1. 不合理な待遇差をなくすための規定の整備
  2. 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
  3. 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備

厚生労働省では、異なる雇用形態間での不合理な待遇差に関しての具体例を挙げ、各企業が守るべきガイドラインを公開しています。このガイドラインについての詳細は、厚生労働省の該当ページをご確認下さい。また、弊社のサイトでは異なる雇用形態間での不合理な待遇差についての代表的な判例をご紹介しています。別ページ「同一労働同一賃金に関連する代表的な判例の紹介」をご参照下さい。

雇用形態の違い

同一労働同一賃金に関する指導強化

令和4年10月28日の厚生労働省の発表において、同日閣議で話し合われた総合経済対策の中に「非正規雇用労働者の待遇の根本的改善を図るため、同一労働同一賃金の遵守を一層徹底する」というものが含まれていました。これは今後より一層の「同一労働同一賃金」に関する指導が強化されるということを示唆しています。労働局の雇用環境均等部が行う報告徴収の前に労働局が労働基準監督署と連携した事実確認を実施するために、新たに52人の労働基準監督官を増員し、その後の報告徴収の対象企業の選定に向けた事実確認を行うという流れとなります。

具体的な取り組みについては、2022年12月発行の労働新聞でも大きく取り上げられています。以下、そのまとめとなります。

  • 労働局の雇用環境均等部は、同一労働同一賃金に関する報告徴収(企業の雇用管理の実態把握)及び同法違反が見つかった場合の助言指導を行う
  • 労働基準監督署は、同法に関しての違反有無の判断は行わないが、定期監督(調査)の際に事実確認を行い、雇用環境均等部に連携するかたちとなる。事実確認を基に雇用環境均等部の行う報告徴収の企業選定へと利用する
  • 労働局の雇用環境均等部と労働基準監督署の連携があることで、同法違反となる企業の選定がより効率的となり、効率的な助言指導を行う取り組みとなる
  • 企業にとっては、労働基準監督署の定期監督と労働局及び雇用環境均等部の報告徴収と調査が立て続けに来る可能性があるため、ただでさえ負担の大きい調査が立て続けにくることで業務に差し支えがでる可能性も視野にいれるべきである

この労働新聞の内容にもあるように、各企業にとっては、業務に差し支えの出る可能性のある定期監督(調査)や報告徴収の事前準備として、同一労働同一賃金のガイドラインを今一度しっかりと確認し、対策を講じておく必要があるといえます。

最後に

同一労働同一賃金のに関する法律が施行してから約2年が経とうとしています。法律が施行されてから企業側が制度の見直しを実行出来ているのか、このような指導強化によって実績を調査する傾向にあります。特に法改正の施行日から1~2年後は、その法改正内容についての調査件数が増える傾向にあるように感じます。そのため、事業主の皆さんにも今一度、法改正があった際にはしっかりとその内容を確認し、必要な対策をきちんと継続することのできる体制を整えて頂きたいと思います。

制度設計のもと、待遇差が生じている場合には問題がないかもしれないですが、そもそも待遇差について軽視をしてしまっている企業は、この指導強化によって足元をすくわれかねません。調査・指導がはいる前にぜひとも対策を講じて頂きたいと思います。

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